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本紙報道で1年間を振り返る ニュースダイジェスト 2023年3月―2024年2月

2024.03.16

目次

吉田寮訴訟
琉球遺骨
国際卓越研究大学
新型コロナ
立て看板訴訟
組織再編
学生支援
11月祭
OCW
学童保育所
硬式野球部

吉田寮訴訟


寮生一部勝訴、控訴審へ


京大が吉田寮現棟の明け渡しを求めて寮生を提訴した問題で、京都地裁が今年2月判決を出し、約5年にわたる第一審が終結した。判決では14名の寮生の居住継続を認め、寮生が一部勝訴した。判決を受け、原告・京大および敗訴した3名の被告は大阪高裁へ控訴した。

■訴訟に至る経緯

京大当局は2017年12月、大正時代に建てられた吉田寮現棟が「耐震性を欠き、極めて危険」として、翌年9月末までの退去を要請する通告を出した。老朽化対策については従前、当局と寮自治会の間で話し合いが行われており、12年に現棟を補修する方針が確約された。しかし15年3月を境に補修に向けた話し合いは停滞しており、寮自治会は退去要請が「一方的に通達された」と抗議していた。

18年夏に理事と寮自治会の間で少人数での交渉が持たれたが、理事は合意形成を拒み、交渉を打ち切った。大学は19年2月に寮自治会が提示した妥協案を容れず、4月に「寮生の安全確保のため」として、寮生40名を相手に現棟などの明け渡しを求め提訴した。

■訴訟の争点

この裁判では、大学と寮の間で結んだ確約が有効か、大学と寮生の間に在寮契約が成り立つか、契約が成り立つ場合その解除が可能かという点が主な争点であった。

確約について京大は「副学長個人が結んだ」もので無効と主張した一方、被告は大学が「正式な決裁とみなして」おり有効と主張した。また、在寮契約について京大は、寮生が建物の利用者に過ぎず、契約関係は成立しないとしたが、被告は寮の自主管理を大学と合意してきた経緯から、成立するとした。さらに、契約解除について、京大は大学の裁量で契約を解除できるとしたのに対し、被告は解除する事由が存在しないと主張した。

■今年度の動き

双方の主張は既に出揃い、第一審は大詰めを迎えていた。昨年2月27日には1回目の証人尋問があり、提訴当時の厚生課職員が確約書について「役員による決裁を取っていない」とした。一方、寮関連の学内委員を務めた元教員は、大学の委員会は寮側の確約書案を精査し、副学長も確認していたと明かした。

3月27日には2回目の証人尋問が行われた。この尋問では、代替宿舎によって寮生らの権利が保障されるとする京大側の主張に対し、証人の寮生らは大学との交渉や寮での共同生活を振り返り、寮による自主運営の意義を強調した。

6月1日には裁判官が裁判上の和解に関する進行協議を設定したが、和解は成立しなかった。吉田寮自治会は16日に声明を発表し、当局が「意見の異なる者との対話・歩み寄りの可能性を一切排除」していると批判した。

10月5日、最終口頭弁論が行われ、結審した。被告は、寮自治会の補修案を京大が「停滞させた」こと、築浅の新棟に居住制限を設けたことをあげ、大学の目的が「安全確保」から逸脱していると指摘した。弁論後、寮生は「今からでも訴訟を取り下げてほしい」と発言した。一方京大は、補修案が概算費用のない素案に過ぎず、検討可能なものではないと反論した。また退去要請後も寮自治会が入寮募集を続けたことは「無責任」で、協議の余地はないと主張した。

■地裁判決 寮生の一部勝訴

今年2月の地裁判決では、確約の効力が現在の京大および寮生に及ぶことを認めた。在寮契約について、17年12月の退去要請まで寮の自主管理について寮と大学が合意していたとして、退去要請以前に入寮した学生の在寮契約の成立を認めた上で、京大の主張する契約解除を退け、14名の居住継続を認めた。一方で退去要請以降に入寮した学生については在寮契約は成立しないとして、3名の居住継続を認めなかった。

判決は、大学と寮の間で、老朽化対策には現棟の補修が有効と合意されていたことから、耐震性能が不足することを理由に、在寮契約を解除することはできないとした。さらに、寮生らが寮の自主運営に「大きな意味を見出して」いることを認め、大学もそれを尊重していたから、代替宿舎では在寮と同等の目的を達成できないとして、京大の主張を退けた。

地裁判決を受け、京大および敗訴した3名の被告は大阪高裁への控訴を決定している。

一部勝訴を受け喜ぶ寮生ら=京都地裁前


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琉球遺骨


原告敗訴も上告せず


京大が保管する琉球民族の遺骨の返還を求める訴訟は、2018年12月の提訴から約5年を経て、23年9月に終結した。

22年9月から約1年に及んだ控訴審では、原告側が求めていた遺骨の保管状況の調査が一部実現した。大島眞一裁判長は23年2月の弁論で、博物館に自ら赴き遺骨の保管状況を確認することを提案。京大はこれを拒否したものの、非公開での協議を経て、保管箱のなかに収められた遺骨を低い角度と高い角度からそれぞれ一枚ずつ、全26体分撮影した写真を提出した。これを受け、原告の松島泰勝氏は同年7月の弁論で、▼写真に供物が見当たらない▼いくつかの遺骨には直接標本番号が書き込まれていると指摘し、京大の研究者について「先祖の尊厳を毀損している」と非難した。

大阪高裁は9月、原告に遺骨の返還を請求する権利はないと結論付け、京都地裁に続き、原告の請求を退ける判決を言い渡した。しかし判決文のなかで、「遺骨は、単なるモノではない」「遺骨は、ふるさとで静かに眠る権利があると信じる」「持ち出された先住民の遺骨は、ふるさとに帰すべき」「適切な解決への道を探ることが望まれる」とも付言し、注目を集めた。原告は当初上告を検討したものの、「歴史的な判決」と評価し、これを確定させるため「積極的に上告しない」判断をして、訴訟は終結した。

本紙が同月、判決の付言を受けて遺骨の取り扱いを再考する考えはないか尋ねたところ、京大は「本学の考えは裁判の中で明らかにしているとおり」と回答した。

訴訟は終結したが、遺骨の返還に向けた運動は続いている。同志社大の板垣竜太教授らは、京大の湊長博総長に対して、判決を重く受け止め、「当事者との対話、真相究明、謝罪、原状回復」を行うよう求める要請書への賛同を昨年11月よりインターネット上で募集している。

◆琉球遺骨訴訟
京都帝国大学の研究者が1929年に沖縄県今帰仁村の百按司墓(むむじゃなばか)から持ち出したとされる遺骨の返還を求め、墓に祀られた王族「第一尚氏」の子孫らが京大を訴えた訴訟。原告は、国際人権法又は憲法に基づき遺骨の返還請求権を有するとともに、民法上も遺骨の所有権を有するとして、京大に対し遺骨の引渡しや損害賠償を請求した。遺骨の収集について原告が「盗掘」と主張する一方、京大は、警察などの許可を得ており違法性はないと反論した。

判決前、大阪高裁に向かう原告ら=9月22日


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国際卓越研究大学


第1回公募に落選 東北大が候補に


23年3月を期限として行われた「国際卓越研究大学」制度の第一回公募には京都大学など国私立の10大学が申請し、9月に東北大学が認定候補として選ばれた。12月には国立大学法人法が改正され、東大や京大など5大学に運営方針の決定権を持つ「運営方針会議」を設置することが決まった。卓越大制度は今年秋にも2回目の公募が行われる見通し。

京大は7月、教員向けにウェブ上で説明会を開いた。湊総長は▼国立大学の財源構造の「歪み」▼研究環境の老朽化などを申請理由として挙げ、申請について「四半世紀をかけて、強靭な研究力と自立した財務基盤を有するサステナブルな研究大学の形を作り上げていく極めて重要な機会」と評した。その上で、研究力の強化、研究成果の活用推進、自律的な大学組織の形成の3点を中心とした体制強化計画を明かしている。

書類審査や面接、現地調査を経て、9月には東北大学が認定候補として選ばれた。国際卓越研究大学認定に関する有識者会議は、京大の体制強化計画について「執行部の変革への強い意志は高く評価できる」と評価した。一方で、新しい研究組織への適切な移行には 「新たな体制の責任と権限の所在の明確化が必要」としたほか、「執行部が有する変革への意志が、長期間にわたり大学として教職員に引き継がれる」ことが必要だとの意見がつけられた。

12月の国立大学法人法改正では「大学の活動の充実に必要な運営機能を強化するため」として、京大など規模の大きい5大学を「特定国立大学法人」に指定することが決まった。指定された大学には、文科大臣の承認を得た構成員からなる「運営方針会議」を設置し、大学法人の中期目標・中期計画及び予算・決算を決定する。なおこれに対し、京大職員組合は11月10日、東大など4大学の教職員組合と合同で改正案の廃案を求める声明を発表し、文科大臣が「大学を支配する仕組み」だと批判している。

◆国際卓越研究大学
国際的に卓越した研究を行い、社会に変化をもたらす研究成果が期待される大学を国が「国際卓越研究大学」に認定。大学が作成する体制強化計画に基づき、10兆円を運用する「大学ファンド」が1年あたり最大で数百億円を拠出し「世界と伍する」研究大学の形成を目指す。その一方で、認定された大学は大学ファンドの元本維持・増強のための資金拠出や、年間3%の事業成長を求められる。また、学外者が半数以上を占める総長の人事権を持つ合議制機関の設置など、制度改革も課される。


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新型コロナ


3年続いた活動制限、完全撤廃


京大は5月8日、新型コロナへの対応レベルを0に引き下げ、20年春から続けた活動制限を撤廃した。同日から感染症の位置づけが5類に変更されたことに伴い、学内の危機対策本部を廃止し、感染報告を求める運用も取りやめた。

これに先立って3月には、制限撤廃を予告したうえで対応レベルを1(-)に引き下げた。それまで課していた会食の制限を以後「設けない」と発表し、予約なしでの新歓活動も認めた。4月からは構内でのマスク着用を求める通知を廃止。卒業・入学式では、4年ぶりとなる家族の入場を1人までの制限つきで認めた。21年から続く新歓行事「ビラ紅萌祭」は前年同様に実施された。20年7月以来、課外活動の事実上の許可制を裏づけていた活動計画書の提出は、最後まで続いたものの5月8日に撤廃された。

6月には「白浜海の家」の宿泊受付が3年ぶりに再開され、吉田南の4号館(5月〜)や総合館(9月〜)などの施設もほぼ従来どおり課外活動で使えるようになった。

授業は22年秋の教室定員の撤廃以来、制限なしで開講されている。なお、21年に感染対策の一環で導入された昼休みの15分延長は24年度以降も継続するという。

にぎわいが戻ったクスノキ前


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立て看板訴訟


春以降、証人尋問を実施へ


2018年に京大がキャンパス周辺の立て看板を撤去したことを巡り、大学の職員組合が京大と京都市を相手どり提起した訴訟で、2023年度には第9回から第13回の口頭弁論が開かれた。

■裁判所 文書開示は求めず

原告側は第8回までの弁論で、京都市が京大に対し2012年から行っていた行政指導の中で、原告らの立て看板は「何ら問題とはされず」、17年以降に「突然」指導の対象となったと主張していた。原告は、被告側の市と大学が協議し、条例の解釈・適用を恣意的に変更して組合の活動を妨害したとして、行政指導に関する文書の開示を求めていた。裁判長は、原告側と被告側の事実認識に相違があると認め、行政指導の中で被告側が条例の解釈を変更していないことを立証する必要があると指摘していた。

23年3月の弁論では、被告側が市の委員会の議事録を提出し、条例解釈を変更していないことを主張した。その後、裁判長が文書の送付嘱託について「現状ではその必要性までは認められない」とし、原告の申し立てを却下した。送付嘱託は、裁判所を通じて特定の文書の提出を求める手続き。原告らはこれまで、「文書が出てくれば新たな展開が考えられる」として文書開示を求めていた。公判後の報告集会では、今後について「立て看規制の意味に焦点を合わせたい」と述べ、訴訟の進行について方針転換を迫られることとなった。

■進行協議 実施へ

7月の弁論では原告側が京都市の屋外広告物条例について、「区画」の意義など複数の点が不明確だとして、憲法の要請する明確性の原則に反していると主張した。加えて、仮に条文の文言が明確でも条例による規制は過度に広汎だとして法令の違憲性を主張した。また、条例が合憲であったとしても、京大構内に条例を適用するのは違憲であるとの主張を再度行った。京大に対しては、立て看板の撤去に至るまで、原告のタテカンを条例の対象とはみなしていなかったなどの主張を行った。

9月には証人尋問の実施に向けたやり取りがされた。原告は▼京都市が主張する公務員の守秘義務について、その範囲を事前に特定する必要▼被告側との間で争点の整理が完全になされていないことを主張し、今後の弁論については、非公開で行う別室での進行協議を併用して進める方針を決定した。

次回弁論は春ごろを予定している。

◆立て看板訴訟
17年10月、京都市が京大周辺の立て看板について屋外広告物条例に違反するとして京大を行政指導した。これを受け京大は18年5月に立看板規程を施行し、組合が設置したものも含め「設置基準に反する」立て看板を撤去した。組合は団体交渉で撤去の「事前通告がなかった」と抗議したが、撤去理由について大学から「誠実な」説明がなかったとし、表現の自由の侵害などを訴えて21年4月に提訴した。原告は550万円の損害賠償を求めている。

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組織再編


「工化」改称、センター新設も


23年度は複数部局で組織が再編された。個別事情による変更のほか、執行部から各部局へ統治機構の再考が伝播した例もある。

4月、3人の理事が再任半年で交代。退任した村上氏は、同月から総長による「指名」制となった大学院総合生存学館長に就いた。資金不足が懸念された学館は、新方針として他部局を交えた運営を掲げ、25年度入試から他の研究科への合格を必須とする。

大学事務本部では、総務部の渉外課が独立の部となり広報課を組み入れ、新たに基金室を京都と東京に設置した。寄附金獲得の推進を図るという。

人間・環境学研究科は全3専攻を統合し、14講座を10に再編した。「学術越境」に努めつつ、「教員数縮小の流れ」に対応する狙いもある。工学部の工業化学科は、「工業」のイメージが環境問題を扱う実態に合わないとして、24年度から「理工化学科」に改称すると発表した。

5年一貫制だった院生向け「グローバル生存学大学院連携プログラム」は、管轄が移され「グローバル生存学コース」となり、博士課程の修了を求めない運用に変わった。このほか、人文科学研究所が東アジア人文情報学研究センターを人文情報学創新センターに改組して職員を増やし、情報環境機構は研究データの共有環境を整備するべくデータ運用支援基盤センターを新設した。

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人環 4月から3専攻を統合「学術越境」で分野間の連携めざす(2023年4月16日)/学生担当など3理事交代就任半年で(同上)/京大事務本部 一部で改組渉外部や監事支援室を設置(同年6月16日)/総合生存学館 設立10年変わる運営体制・資金難に対応(同上)/グローバル生存学コース設置GSSプログラムを拡張(同年7月1日)/工業化学科 改称へ申請来年度から「理工化学科」に(同年7月16日)/総合生存学館 他研究科の修士合格が必要に入試やカリキュラムを変更(同上)/京大 人文研の附属施設を改組市民との協業で人文知の創出へ(同年10月1日)/研究データの全学運用へ情報環境機構を改組(2024年2月16日)

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学生支援


ウクライナ学生 新たに5名受け入れ


昨年度に引き続き、京大はウクライナ学生への授業料免除・住居の無償提供といった支援を実施している。2022年2月から続くロシアの軍事侵攻を受けたもので、23年10月には5名のウクライナ学生を新たに受け入れた。同年11月には百周年時計台記念館で、支援を受け京大で学修する17名全員参加の歓迎会を開催した。学生に毎月支給する奨学金に充てる目的で22年4月から運用されている「ウクライナ危機支援基金」には、昨年10月末時点で約1億2800万円の寄附があったという。

能登半島地震 受験料を免除


元日に発生した令和6年能登半島地震に際して、京大は同月中に被災者を見舞う文章を公表し、学生・教職員の安否確認を実施した。安否確認ではメールが届かないというシステムの不具合が見られたが、問題解消後に京大はメールを再送した。また、被災した受験生の入学検定料を免除するとした。大学によると、2月時点では北陸にある施設の被害や、学生・教職員の就学、就労への支障は確認されていないという。

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11月祭


4年ぶり 10万人規模での開催


今年度の11月祭は11月22日から25日まで、対面を基本として、オンライン企画を組み合わせた「ハイブリッド形式」で行われた。大学構内会場では4年ぶりに企画出展者の入構制限や来場者への事前予約が課されず、コロナ禍以前と同水準の約10万人が来場した。

2019、22年度と続く全面禁酒について、全学実行委員会(全学実)で議論が交わされた。5月の第1回全学実で事務局から全面禁酒が提案されたが、参加者からの修正要求や反対意見が相次ぎ、結論は数回にわたり持ち越された。8月の第5回全学実で事務局は、当局に一部解禁案を伝えたものの、開催の条件として全面禁酒を迫られたと報告した。このような「大学当局の圧力」があったとして、経緯の記録と抗議を含む宣言文を採択することを前提に、全面禁酒が全会一致で採択された。

9月の第6回全学実では大学の不介入・禁酒撤廃を訴えた要求文が採択され、当局に提出されたが、「本祭の飲酒等の状況が不明」として当局は応じなかった。これに対し事務局は12月の第8回全学実で、今年度の飲酒等の状況を報告した上で禁酒の要求を「過剰」とする附帯文を設け、再要求することを提案し、採択された。なお本祭では、酒類所持が3件確認され、飲酒による設備破損や救急搬送はなかった。

同月開かれた第9回全学実で事務局は、当局が不介入の要求に対し、全学実及び11月祭参加者の意向を「可能な限り尊重」すると返答したことを報告した。本祭の飲酒等の状況を評価し、当局が全学実に譲歩した格好だ。

模擬店が並ぶクスノキ前広場


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OCW


後継の新サイト開設


京大は23年11月、動画発信ウェブサイト「KyotoU Channel」を開設した。学部、大学院、研究所などが別々のユーチューブチャンネルで公開していた約4千本の動画は、一つのサイトで横断的に検索、視聴できるようになった。新サイトは、22年9月に更新を停止した京大OCW(授業動画などを無償で公開するウェブサイト)の後継としての性格をもち、誰でも無料で利用できる。

新サイトには、キーワード、学問分野、タグ、公開年度で動画を絞り込み検索する機能や、人気動画、おすすめ動画を紹介するページが設けられた。特色ある取り組みとして、▼毎月のテーマに沿う複数チャンネルの動画などがまとめて紹介される特集ページ▼SNSを通じて市民から募集した質問に京大の研究者が回答していく動画が毎月新たに制作される「京大先生、質問です!」がある。野崎治子・広報担当理事は記者会見で、「視聴者の方とインタラクティブな形で動画を制作する試みはこれまであまり例がない」と述べ、取り組みの意義を強調した。

新サイトでは、旧OCWに掲載されている動画も検索できる。旧OCWのサイトも引き続き維持されるが、新しい動画は掲載されない。

◆OCW(オープンコースウェア)
大学が授業資料・動画を無償で公開するウェブサービス。2005年、京大を含む6大学が日本で初めて導入した。京大は22年8月、管理を担う組織とともにOCWを閉鎖すると発表。学内外から存続を求める声が寄せられると、一転してOCWを「積極的に発信」していく検討を始めた。23年1月には、新たに「OCW2・0(仮称)」を運用する方針を公表し、それとは別に研究科などの動画を一元的に検索できるシステムを構築するとしたが、両者は最終的に「KyotoU Channel」に一本化された。

開設時のトップページ(京大提供)


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散らばる動画 まとめて発信OCWの後継サイト開設(2023年11月1日)

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学童保育所


12月開設 研究と子育ての両立支援


京大は、12月9日に学童保育所「KuSuKu」を開所した。対象は、派遣職員を含む教職員と「正規」学生を保護者に持つ、小学1年生から6年生までの児童。開設場所は大学文書館1階で、土日祝日および小学校の長期休業中に開所する。

教職員や学生が研究と子育てを両立することを支援し、京大の学術的なリソースを活用して児童の探求心を伸ばすことが目的。京大は設置の経緯として、大学周辺の保育所の充足状況や教職員へのアンケート結果から、小学生対象の学童保育所のニーズの高さが明らかになったことをあげた。

11月12日に実施された記者会見で、京大は事業費2億円を大学運営費から拠出したことを明らかにした。年間の運営費は2千万円を想定し、基本的に利用料収入で運営する方針だという。京大教職員で構成する運営委員会と株式会社パソナフォースターが共同で運営する。稲垣恭子理事(男女共同参画担当)は本紙の取材に対し、大学が学童保育所の運営に関与するのは初めての試みであるとして、「KuSuKu」がモデルとなり、同様の取り組みが他大学に広がることを期待していると述べた。

開所前の会見で家具の設計を説明する建築士


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硬式野球部


新戦力躍動も 苦しいシーズンに


昨年度、春季リーグで過去最多タイの5勝を挙げるなど、躍進を遂げた京大野球部。今年度は新エースの水江日々生(法4)を中心に、リーグ優勝を目標に掲げ、関西学生野球連盟春・秋季リーグに臨んだ。しかし、結果は春・秋季ともに勝ち点0の6位。苦しいシーズンとなったが、1回生の活躍など新たな可能性がみえた。

春季リーグ開幕戦、京大が劇的な逆転勝利を挙げた。昨年度秋季リーグの覇者、関大を相手にエース水江が7回3失点の好投を見せると、1点ビハインドで迎えた9回裏、細見宙生(工2)が逆転の2ランを放った。勢いそのままに勝ち点獲得を図る京大だったが、力及ばず2連敗。以降も勝ち点を獲得できず、最下位でシーズンを終えた。

水江が最後のシーズンとなる秋季リーグ。エースの胴上げを誓ったチームだったが、結果は最下位と苦しんだ。しかし、新たな可能性も見えた。最終戦では、1回生の菅野良真(工1)が関大打線を3回0失点に抑える好投を見せた。また、秋季リーグで連盟タイ記録の7打席連続安打を記録した中井壮樹(医2)は、リーグのベストナインに選出された。

春初戦の勝利に笑顔を見せる京大ナイン


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