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地裁 行政指導文書の開示求めず 立て看訴訟 第9回口頭弁論

2023.04.01

地裁 行政指導文書の開示求めず 立て看訴訟 第9回口頭弁論

報告集会に登壇する高山教授ら=京都弁護士会館

京大周辺の立て看板規制をめぐり、京大の職員組合が京都市と京大を提訴している裁判で、3月13日、第9回口頭弁論が京都地裁で行われた。裁判長は、原告が求める行政指導の文書に関する送付嘱託について「現時点では必要性までは認められない」として却下した。原告側は文書送付嘱託の要求を断念し、異なる切り口を模索していくことを明かしている。次回弁論は5月25日の11時から行われる。

原告側は過去の弁論で、被告側の市と大学が協議し、条例の解釈・適用を恣意的に変更して組合の活動を妨害したと主張し、行政指導に関する文書の開示を求めていた。前回弁論で裁判長は、原告側と被告側に事実の認識に相違があると認め、被告側には2012年の最初の行政指導から組合の看板撤去に至る17年までの間で、条例の解釈を変更していないことを立証する必要があると指摘していた。

今回の弁論で、被告京都市は京都市まちづくり委員会において、当時の広告景観づくり推進室長が「指導に変化はない」旨を述べている議事録を提出してこの指摘に応じた。また、被告京大は準備書面の中で、京都市が原告の立て看板を個別に取り上げて指導したことはなく、条例解釈が変遷したことはないため、条例解釈の一貫性について立証する必要がないとした。これに対し、原告は被告が提出した文書は実際の行政指導の説明になっておらず、送付嘱託をすることで行政文書を開示する必要性が一層強まったと陳述した。

陳述の後、裁判長は送付嘱託の可否について今回の弁論で判断することを双方に確認し、弁論は一時中断された。裁判官による合議が行われた結果、裁判長は文書の送付嘱託について「現状ではその必要性までは認められない」とし、原告の訴えを却下した。これに対し、原告は判断が覆らないことは承知していると断った上で、必要性がないという一言で却下されたことに疑問を呈した。

原告側は裁判後、京都弁護士会館で報告集会を行った。原告側の弁護士は裁判所の裁定に対し「納得がいくものではない」と不満を露わにした。異議を述べても送付嘱託が認められる可能性はないとした上で、今後については「立て看規制の意味に焦点を合わせたい」と見通しを述べた。

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