大賞
井口可奈 『ボーンの錯覚』
選考委員特別賞
森いの助 『朝だ元気で』
最終候補作
井口可奈 『ボーンの錯覚』
高田九円 『全裸の夢』
櫻井周太 『冷え物と劇物』
浦出卓郎 『壊乱の巷』
森いの助 『朝だ元気で』
受賞作2編は『京都大学新聞』2015年10月16日号に掲載しています。購読方法はこちら
選考委員
大森望 オオモリ・ノゾミ(翻訳家・書評家)
新人賞の応募作にいちばん期待するのは、文章の美しさでも小説のうまさでもなく、いままで見たことがない何か。新人の原稿は毎年何百本も読むんですが、残念ながら、そういう驚きを味わうことはめったにない。うわ、まだこんな手があったのか!――と仰天できる作品にめぐりあえることを祈っています。よろしく。
谷崎由依 タニザキ・ユイ(作家)
頭の奥の奥のところで、あ、と思えるような、ずっと知っていた気がするのにあたらしい何か。数多の過去の作品たちと繋がりながら、一歩を踏み出そうとする何か。この世のこれを、あれを表象するのにこんなやり方があったのかと、口惜しく嬉しくなるような、そんな何かを読んでみたいです。どうぞよろしくお願いします。
吉村萬壱 ヨシムラ・マンイチ(作家)
まだ何者でもなかった時、「公募ガイド」を見て第一回京都大学新聞文学賞に応募し、受賞した。選考委員は森毅氏と若島正氏だった。その後のデビューまでの孤独な数年間、この受賞はとても励みになった。自分の小説にも需要があるという驚き。「まともな文学賞」に送れないやばいブツ、飛びきり危険な爆弾の送り先は、ここです。
若島正 ワカシマ・タダシ(京都大学教授)
勘違いしてもらっちゃこまる。オレオレ詐欺みたいなきみの話には、だれも耳を傾けたくないんだよ。こっちは絶対に騙されるものかと身構えてるんだから。それでも、少しだけなら騙されてもいいかな、とつい思ってしまうような言葉を読みたいんだ。
京都大学新聞文学賞の来歴
1959年に「京都大学新聞」創刊1000号*を記念し、伊藤整、野間宏を選考委員に迎えて懸賞小説を始めました。この懸賞小説は1970年まで毎年続きます。その後、長い空白期間を経て、1997年に「第1回京都大学新聞新人文学賞」を開催、文学賞の復興となりました。2008年には「第2回京都大学新聞文学賞」が開かれています。今回、京都大学新聞が創刊90周年(2015年4月1日)を迎えることを記念して、「第3回京都大学新聞文学賞」を開催します。
* 1925年4月1日創刊の「京都帝国大学新聞」から数えて
過去の受賞作
第2回(2008年) 森いの助 『リンゴ』
第1回(1997年) 吉村萬壱 『国営巨大浴場の午後』