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硬式野球部 関大戦 痛恨の連敗で今季勝ち星なし 関西学生野球連盟 秋季リーグ閉幕 下回生躍動 「新しい可能性」も見えた

2023.11.01

硬式野球部 関大戦 痛恨の連敗で今季勝ち星なし 関西学生野球連盟 秋季リーグ閉幕 下回生躍動 「新しい可能性」も見えた

8回、内野安打を放つ代打・田中(医4)

10月14・15日、関西学生野球秋季リーグ第6節、関西大学戦がほっともっとフィールド神戸(=神戸市須磨区)で行われた。京大硬式野球部はリーグ優勝を目標に掲げながら、ここまで全敗と苦しいシーズンを送ってきた。最終節の相手は、プロ注目の有馬諒、金丸夢斗らを擁する関西大学。エース・水江らのラストを勝利で飾ることができるのか。熱戦の様子を取材した。(爽・省)

水江の力投 実らず
【1日目】関大 6—0 京大


水江日々生(法4)と関大・金丸夢斗のエース対決となった14日。秋季リーグでの初勝利を目指した京大だったが、金丸の前にチャンスを作れなかった。水江の142球の粘投も実らず、悔しい敗北を喫した。

水江はヒットこそ打たれるも、2回まで関大打線を0点に抑える上々の立ち上がり。3回、2死から連打を浴びてランナーをためると、3番・有馬に対し死球を与え、満塁のピンチを迎える。4番・富山をフルカウントまで追い込むも、痛恨の四球で先制点を許した。その後、5回にも四球とエラーで失点を喫する苦しい展開となった。7回、先頭・藤原にヒットで出塁を許すと、バントでランナーを進められ、またも有馬のタイムリーで1点を失う。その後も四球とヒットが重なり、この回一挙3失点。あと一歩、流れを引き寄せられなかった。試合前、近田監督から「行けるところまで自分で判断して行きなさい」と伝えられていたという水江。8回も志願の投球となり、この回を三者凡退に切ってとる気迫のピッチングを見せた。水江は8回6四死球5失点でマウンドを染川航大(理4)に譲った。染川は1回1失点の内容。

打線は、金丸の前に2安打12奪三振を喫するなど、水江を援護できなかった。なお、金丸は今シーズン最優秀防御率・最多勝・最多奪三振を記録し、最優秀選手・ベストナインを獲得した。

♦試合後インタビュー


〈近田監督〉

試合を振り返って
――金丸投手はなかなか打てない。まずランナーをためることが難しい。基本的には先制できないとしんどいなという状況で、エラー含めて2点入っている。簡単に向こうに「どうぞ勝ってください」という展開にしてしまったな、というのはありますね。

水江も気迫のピッチングをみせた
――今日は本人にも「行けるところまで自分で判断して行きなさい」という話はしていたので。最後、なかなか疲れは出ていたと思うが、彼なりにしっかり投げきってくれたかなと思います。

7回、マウンドでは何を話していたのか
――今年ラストの一節なので、「しんどい場面かもしれないけど、マウンドを楽しまないといけないよ」と話しました。

7回、二死1・2塁のピンチで水江に声をかける近田監督(写真左)


明日に向けて意気込みを
――明日が最後になるかもしれない。もちろん気持ち的には明日勝って、明後日につなげて行くという気持ちです。(明日、勝って月曜日に)もう一度水江に投げてもらって、水江に勝ちをつけるつもりです。しっかり明日、どちらかというと打って、関大さんに勝ちたいなというふうに思っています。

投手陣好投も 接戦落とす
【2日目】京大 1—2 関大


負ければ今シーズン終了となる京大。1回生ピッチャーの菅野、玉越の力投もあったが、リーグ首位、関大を前に2連敗を喫した。

後がない京大だが、先発の西宇陽(農3)が力投した。2回には1死三塁から下井田にタイムリーを浴び先制を許したが、後続を抑え追加点を許さず。4回にもフォアボールとヒットで2死一三塁のピンチを招くが、前の打席でタイムリーを打たれた下井田をセンターフライに打ち取りこの回を0に抑え、4回1失点でマウンドを降りた。打線は4回、2死から山本陶二(経2)が2ベースヒットを放ちチャンスを広げると、庄倫太郎(工3)がライトへタイムリーを放ち同点に追いついた。

4回、同点タイムリーを放つ庄(工3)


5回から代わった菅野良真(工1)は関大打線をノーヒットに抑える好投を披露。しかし8回、この回からマウンドに上がった玉越太陽(医1)が追加点を許した。先頭打者に内野安打で出塁されると、デットボールとボークでピンチを広げる。その後、1アウト二三塁から岑に犠牲フライを打たれた。打線は関大の投手陣を打ち崩せなかった。8回には代わった足立を攻め、中井壮樹(医2)のヒットと相手のエラーで2死一三塁のチャンスを作る。しかし、4番山本がショートゴロに倒れ得点ならず。あと1点が遠かった京大。2連敗で今シーズンを終えた。なお、関大は次節で関学大にも連勝し、勝ち点5の完全優勝を果たした。

力投する先発の西宇(農3)



3回をノーヒットの好リリーフをみせた菅野(工1)



8回、勝ち越しを許した玉越(医1)



♦試合後インタビュー


〈近田監督〉

今日のゲームを振り返って
――出せるピッチャーで戦ってこういう結果。最後(玉越は)1回生でああいう場面だったので緊張もあったのかな、と思います。これを経験として来年に活かしてくれたらいいかなと思います。

西宇、菅野などピッチャー陣が踏ん張り、ロースコアの試合展開になった
――ピッチャー陣は本当に頑張ってくれたかなと思います。西宇も最終節である程度調子が戻ってきて、やっと投げられるところまで来たので、来年に向けてしっかりやってくれたらいいかなと。菅野も点を取られていませんし、そこは明るい希望になるかなと思います。簡単に打てる相手ピッチャーじゃないので、来年もしっかりと、ピッチャー中心に守りを作っていきたいと思います。

打線は山本・中井が2安打と明るい部分もあった
――みんな疲れもあったと思う。今後、もっと打てるように練習を積むだけです。

秋初戦、監督から「水江を胴上げしたい」という話もあった。振り返って
――やはり水江に勝ちをつけてあげたかった。それができなかったのは非常に残念。勝てる京大を作ってくれたのは水江のおかげなので、ひとつの京大の時代が終わるな、と感じます。ただ、新たに1回生も頑張ってくれてますし、また改めてチームを作っていきたいなと思います。下回生にとってはいい経験ができた秋のリーグじゃなかったかなと思います。

来季に向けて意気込みを
――基本的に、チームとして弱いのは事実です。本当に練習するしかないと思っています。京大らしく頭を使って「どうやったら勝てるのか」という所をメインに、しっかりまたみんなでチーム力を上げて春、勝てるように頑張りたいと思います。

〈水江投手〉

今日の試合を振り返って
――今まで、僕が中心になって投げるという試合が多かったので、今日、新しい可能性というのを見せてもらえて、安心して引退できるなと思った。

秋を振り返って
――勝つのはなかなか難しいというのを改めて感じた。勝てる試合を落としたりとか、負けないようにするということの大事さを痛感している。

今日で引退ということになる。大学野球を振り返って
――僕らの代では勝てなかったが、先輩に勝たせてもらうことが多かった。自分の代では(史上初となる)近大からの勝ち点などを経験できたので恵まれた代だったと思う。

◆中井壮樹(医2)は打率3割1分4厘を記録し、リーグのベストナインに選出された。なお、中井は今季、7打席連続安打を記録し、連盟タイ記録に並ぶなどの活躍をみせた。京大からのベストナイン選出は昨年秋以来2季ぶり。

◆水江投手は社会人野球で野球を続けるとのこと。取材に対し、「来年以降も引き続き頑張ろうと思う」と述べ、学生野球に別れを告げた。4年間の通算成績は45試合登板。3085球6勝19敗115奪三振。通算防御率は2・80となった。

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