企画

【検証 京大のコロナ対応 ―第5弾―】 見えたゴール、コロナ以前の面影も  2022年8月〜2023年3月

2023.04.16

「5月8日以降は、ガイドラインの対応レベルをレベル0といたします」。3月8日付の京大の発表により、2020年春以来の活動制限が撤廃される見通しとなった。本紙では、異例の状況を取材し記録するべく3年にわたって連載を続けてきた。制約下の生活に出口が見えつつある今、第5弾として京大をとりまく諸課題を様々な切り口で振り返る。(編集部)

目次

活動制限 レベル0移行を予告 先立って「原則制限なし」へ
課外活動 飲食・他大生で緩和 制限以来初めて
課外活動団体アンケート
卒業生アンケート回答
「結局待つしかなく、やるせない」
体育会 幹部学生の声

団体の声 環境サークルえこみっと
「もともとグレーだった教室借用がコロナで厳しく」

他大学 すでに制限撤廃の大学も 5月にさらなる緩和へ


学内外の動向(2022年8月~2023年4月)



活動制限 レベル0移行を予告 先立って「原則制限なし」へ

1年半ぶりに制限緩和


新年度を迎えた構内は、行き交う学生で賑わっている。マスクをつけている者が多いが、外している者も散見される。京大は4月から学内での着用を「個人の判断に委ねる」としている。それまでは原則推奨し、22年6月には屋外や対人距離を確保できる場合に限って着用を求めない旨を通知していた。

5限後に新歓に集まる学生=4月13日、時計台前



突然の休講で構内から人が消えたあの春から3年。ようやく制限撤廃が見えた。3月8日、京大は学内の活動制限の緩和を発表。5月8日から「レベル0=制限なし」にすると予告した。これに先立ち、3月13日からはそれまでの「レベル1=最小限の制限」を「レベル1(−)=原則制限なし」に緩和した。遡ること1年半前、政府が21年9月末をもって4度目の緊急事態宣言を解除したことに伴い、京大は制限レベルを「2(−)=対面の制限」から1に移行。それ以来、強化も緩和もせず維持していた。

今年1月の政府の方針転換で状況が動いた。新型コロナの感染症法上の位置付けを5月8日から5類に引き下げ、同時に政府や都道府県の対策本部を廃止するという。京大もこれにあわせて学内の危機対策本部を廃止することを予告している。総長や研究科長らからなる臨時の組織で、規定にもとづいて20年1月末に設置された。廃止後の対応について京大は通知のなかで、感染が再拡大した場合は再び「強い感染対策を求めることがある」と説明している。

また、感染した構成員には所属部局への報告などを求めてきたが、その詳細を定めた通知も5月8日で廃止する。

今春の卒業・入学式では、マスク着用を任意とし、各学生1人まで家族らの入場を認めた。17年・19年入学の学生が数多く卒業したことで、コロナ禍以前の大学の状況を知る在学生が少なくなった。

このほか、22年10月に附属図書館の「学習室24」の深夜利用が再開されるなど、各所で制限緩和が見られる。

感染者の推移


昨年8月から今年3月までに感染が発表された学生の合計は次の通り。22年8月270人/9月51人/10月75人/11月195人/12月337人/23年1月146人/2月26人/3月9人。

なお、京大は学内で感染者が出た場合の対応について、「大学の運営に影響を及ぼすものがあれば公表する」との方針をとっている。

22年度は年間を通して原則対面で授業が行われた。後期開始に際して京大は授業用の感染対策マニュアルを更新し、教室の収容率を制限する文言を削除した。20年夏から対面授業を段階的に増やすなかで、定員の半分、3分の2といった制約を設けていた。定員を考慮して従来より大きい部屋を確保する必要に迫られる場合もあり、昨夏に本紙が実施したアンケート(連載第4弾)では、教員から講義室不足を指摘する声が上がっていた。なお、食堂の混雑緩和のための昼休み延長は新年度も継続している。

【授業】昨秋に教室の定員制限を撤廃


22年度は年間を通して原則対面で授業が行われた。後期開始に際して京大は授業用の感染対策マニュアルを更新し、教室の収容率を制限する文言を削除した。20年夏から対面授業を段階的に増やすなかで、定員の半分、3分の2といった制約を設けていた。定員を考慮して従来より大きい部屋を確保する必要に迫られる場合もあり、昨夏に本紙が実施したアンケート(連載第4弾)では、教員から講義室不足を指摘する声が上がっていた。なお、食堂の混雑緩和のための昼休み延長は新年度も継続している。

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課外活動 飲食・他大生で緩和 制限以来初めて

飲食「制限を設けない」


4月に入り、夕方の時計台前が賑やかになった。「見学いかがですか〜」、「ごはんごちそうします!」。威勢のよい声が飛び交う。かつては当たり前だった光景だが、飛び入り参加での新歓も活動後の食事も、この3年間、大学が認めていなかった。

会食をめぐり京大は、今年2月6日に感染対策マニュアルを更新した。少人数かつ短時間に限って飲食を伴う懇親会を解禁し、複数人での飲酒を認めない旨の記述を削除した。それまでは一貫して、団体での会食と団体内外での飲酒を規制しており、各団体の活動再開に際してはこれらを遵守する念書を提出させていた。さらに大学の指針に「違反した団体は活動停止を命じる」と明記し、一連の制限は拘束力をもった。ただし、実際に活動停止を命じられた団体はなく、最新の通知では活動停止の文言が消えた。また、大学は制限緩和について本紙の取材にたびたび「検討している」と答えており、状況を見定めていたことがうかがえる。

3月8日には、制限をさらに緩和し、飲食を伴う懇親会について「制限を設けない」と通知した。活動計画への記載も求めず、実質的に制限撤廃となった。

なお、月ごとの活動計画の提出を課す対応は4月時点で廃止していないため、事実上の許可制が続く。5月8日以降の提出については「検討中」としている。

施設の個人利用 一部再開


2月の緩和で京大は、他大生の活動参加も認めた。20年夏の部分的な制限緩和以来、「大学間での学生の移動は感染拡大の可能性を高める」として、京大生の参加しか認めない方針をとっていた。変更の理由について京大は「感染状況や、 他大学の状況等を踏まえて、可能な範囲で緩和を進めることとした」と説明している。

このほか、施設利用については、閉鎖していた体育館トレーニングルームの学内者向け個人利用を3月1日から再開した。一方、4月時点で吉田南4号館(4共)や西部講堂、西部構内の共用作業室・防音室の使用を認めておらず、農学部グラウンドの学内者向け開放の停止も続けており、これらについて、「5月8日以降の再開は検討中」だという。

新歓の制限も緩めた。大学は3月8日付の通知で、活動体験に際して前年まで必須としていた事前予約に関する記述を削除した。4月4〜6日には、昨年同様に体育会と応援団がビラ紅萠祭を催し、非公認団体を含めた告知の場となった。


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課外活動団体アンケート


大学が5月での制限撤廃を予告し、それに先立って2・3月に規制を緩めたなか、課外活動団体は現状をどう見ているのか。本紙がアンケートを実施した。メールアドレスを確認できた約230団体にグーグルフォームで作成した質問文を送り、33団体の回答を得た。

そのうち9団体は、4月からの構成員を尋ねる項目で、コロナ禍以前を知る学生が「いなくなる」または「もともと在籍していない」と答えている。活動状況については、25団体が「コロナ禍前に実施していた活動がおおむねできている」と回答した。いずれも統計的な厳密さには欠けるものの、学内団体の現状を可視化することに主眼を置いて尋ねた。

記述回答では、オンラインツールの活用で「活動の幅が広がった」、制限緩和で「気を遣わずに一緒に食事へ行けるようになった」との意見のほか、かつて使えていた4共の利用再開を求める声が見られた。

記述回答(一部、誤字の修正や要約を施した)

■活動状況の詳細

以前と同様の規模感の新歓活動ができる/他大学との交流会も増えており、最近は活動の幅が広がっている/以前から連絡版として存在していたDiscordに重心を置き、活動の基盤をオンライン上のチャット機能へ移行した。作業通話のようにどこからでも気軽に参加できるため使用感はなかなか良く、今も継続している。これまで生原稿を回収していた部誌作成も完全オンライン化。提出・編集・入稿までの全プロセスを行えるようにした。そもそも現代においてはデジタル原稿が主流であり、いずれ必要な改革ではあった/22年度からは、自粛要請に則りつつ徐々に対面活動を再開。オンラインで募集した希望者を日を決めて集め、部室に案内するなどの新歓活動を行った。現在はたまに部室で会話型RPGなどを開催している/サークル活動内での料理や食事などを制限していたが、近々その制限を緩和した活動を行っていこうと思っている/コロナ以後はZoomでの活動となっていたが、今年の4月から対面活動を行うためコロナ以前の状況に戻りつつある/(コロナ禍以前の活動の)半分ほどできている。対面での活動は22年4月まで完全に取りやめていたが、ここ最近は頻度を減らして再開している。また、20年からオンラインで活動を行うようになり、現在も継続している/弱小サークルのため、飲み会や合宿などの付加価値で参加してくれていた人々が離れていき、普段の練習さえ人数がままならない状況もあった/コロナ禍で新歓が制限されていたため、新入生が入ってこず、人手が足りないために一部の活動が充分に実施できていない/合宿ができていない/オフラインでの活動は休止中。オンラインで活動しているものの、主にコミュニケーションの面で課題を感じる場面がある/インカレサークルだが、京大の制約によって他大生が活動できず、活動の幅が大幅に狭くなった。コロナ禍以前は4共を中心に活動していたが、4共が使用できなくなったため活動の幅が狭まった/未だに大学が求める制限は厳しいと感じる。コロナ前と比べると、課外活動掛に対する印象はかなり変わった/対面活動の停止に伴い、放課後集まっての夕食や部室での作業が消滅/観察会後にオフ会としてきのこを食べていたと聞いているが、コロナの関係でそのような活動はしていない/活動場所である学生集会所の時間制限がまだ存在する(コロナ前はなかった)/マスクを着用しての活動となっている/開催するイベントの数が増えた

■3月の制限緩和の影響

〈「活動しやすくなった」を選択〉基本的には活動の制限をほぼ受けないような形に変えた。新歓活動の規制内容をもっとはやく公開してほしかった/他大生が活動できるようになったのが大きい(同様の回答が他4件)/午前から午後にまたがる活動や、夕方遅くまで続く活動の際、気を遣わずに一緒に食事へ行けるようになった/会食はマニュアルに関係なく自粛しているためあまり関係がないが、やろうと思ったときにできる状況であることは意味がある/他大生が学生集会所で活動できるうえに学生集会所での有観客での開催ができるようになったため/インカレサークルで、他大生の入部はこれまではお断りしていたが、受け入れることができるようになる/交流が増えた/非公認団体のため、活動を認められたことは復活への大きな一歩になった

〈「変わらない」を選択〉活動の性質上、もともと他大生が居ない/活動に大きな関係がない/どこまでが行き過ぎかといった判断を大学側に委ねる以上、会食等が認められたといってもそのような活動には後ろ向きにならざるを得ない。後からの反応を考えると、結局は活動は行なわない方が楽という結論に至ってしまう/どこの団体もマニュアルと実態は異なっているのではないか。世間一般が気兼ねなく食事会を開くようになった頃には、その流れに合わせていたと思う。多くの団体がマニュアルを更新するとは思うが、上っ面だけのマニュアルだろうから早々に撤廃したらいいのでは?と思う/当然感染拡大予防には注意を払って活動しているが、マニュアルの内容に縛られていてはサークルの活動に支障が出ると感じている/フィールドワークに出かけるのが恒例だが、コロナの規制が厳しい時は少人数で複数日程に分けていく必要があり、スケジューリングや作業の負担が大きかった/非公認サークルであるため、そこまでマニュアルをチェックしていなかった

■課外活動制限に関する意見

5類移行に伴う全面解除に期待している/課外活動棟の使用時間短縮や、共用室の利用時間など、時間帯の制限を早く撤廃・復旧してほしい/そもそも課外活動は各団体の自由にある部分なのに逐一許可を得る方式も撤廃してほしい(遠征などは別論として)/撤廃を求めたい/書類の提出など、手続きが煩雑な制限が多すぎる/4共を再び使用できるようにして欲しい/部員作品を販売する基本的に唯一のイベントである学祭が、もう少しオープンな形で開催できるようになってくれたら大変ありがたい/焦らず、順次緩和を進めていただければと思う/コロナ禍が始まった当初から今に至るまで、学生のための制限というより、大学の保身のための制限であるように感じる/4共などのコロナ以前は活動できていた場所でのサークル活動を許可してほしい。

※3月上旬から4月9日まで受付。公認団体25件、非公認団体8件の回答を得た。質問項目は、▼2019年以前に入学した構成員(=新4回生以上)の数、▼コロナ禍以前からの活動の変化、▼マニュアル更新の影響、▼課外活動制限に関する意見。

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卒業生アンケート回答


卒業式当日にGoogleフォームで募集。コロナ禍以前の学生生活で思い出されることを自由に記述してもらった。

大学構内をビラを持って新入生に声をかけて勧誘していた/演奏会で差し入れをいただいたりしていたが、コロナ禍により遠慮せざるを得なくなってしまった。最近になるまでずっと他大生の参加が禁止されていたことがとても辛かった。他の団員は練習できているのに、自分だけ参加できないという悲しい思いをしてきたと思う。有観客での演奏会は開催できるのに、どうして他大生の参加は許されなかったのか?もう少し早く他大生の参加を許してほしかった。今年はなかったが、来年は卒業式、入学式で京大交響楽団の隣で、京大合唱団に京都大学学歌を歌ってほしい/講義の空きコマにBOXに行き、サークルの友人と談笑したり食事をとったりした/コロナ前は対面活動が前提で交通の便が悪いこともあり、インカレサークルでも他大生の定着があまり良くないところもあった/研究について、コロナによってカンファレンスがオンラインになってしまった。対面より意見が出づらい雰囲気になった(いずれも17年入学の大学院修了生)

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「結局待つしかなく、やるせない」
体育会 幹部学生の声


20年秋、活動制限が徐々に緩和されるなか、本紙連載第2弾で体育会幹部に話を聞いた。あれから2年半、制限撤廃が見えるところまで来た。そこで、体育会の現幹事長と副幹事長、前幹事長に、ここまでの取り組みと課題を語ってもらった。浮かび上がったのは、大学との交渉に苦心しつつ、約60団体の声をとりまとめ、対応を尽くす姿だった。(村)


︱2、3月の制限緩和に際して体育会として大学とのやりとりは。

現幹事長他大生の参加について昨年10月ごろから大学と改めて話したが、やはりダメだと言われた。相談を重ねていたなかで、結局こちらが把握しない間に大学が急に手のひらを返して、制限緩和に至った。

︱それ以前の交渉は。

現やりとりの過程で譲歩してもらえた部分もある。規制の文書自体を変えてもらうのは難しかったが、個々の団体の申請内容をふまえて柔軟に承認するという対応になっていった。我々としては、各部の要望を募って大学に伝えるなどした。大学としては、建前は厳しくても、可能な限り活動を尊重してくれていると思う。

前幹事長ここ2年半での主な動きとしては、まず21年春の新歓の制限緩和がある。この年に始まったビラ紅萠祭は、大学側からの提案をきっかけに実現した。急きょ決まったが、参加団体の協力もあり対応できた。

次に大きい変化は、21年秋からの人数や時間の制限をめぐる交渉。背景としては、夏にワクチン接種が始まった。体育会会員の接種率を調べたところ、予定者を含めて7〜8割だったため、これをもとに緩和の交渉を持ちかけた。このときは感染者数が少なく、「今やらないと」という思いだった。結果、大学の裁量でうまくくぐりぬけた部分もある。団体競技と個人競技とで事情が違うため、「人数制限は問題にならないけれど時間の制限をどうにかしてほしい」という団体もあれば、その逆もある。そこで、体育会として部ごとに希望をとりまとめて、厚生課に確認してもらった。結果的に、個々の団体の事情に応じて、時間と人数についてはほぼ無制限と言える状態になった。

交渉の際は、他大学の事例を引き合いに出した。印象的なのは、京大が主管校となった21年の七大戦を中止して代替試合を組んだときのこと。京大の基準に合わせて活動してもらうことになり、他大学から厳しすぎるとクレームが入った。そういう事情もふまえて緩和を要望したが、厚生課から、旧帝大ではないが神戸大はもっと厳しいと反論された。

︱2月には体育館のトレーニングルームが利用再開。

現21年夏に、使用を求める声を受けて体育会として動き出そうとしたが、感染状況が悪化し、いったん流れた。秋に日ごとの感染者数が一桁になり、また動き出した。バーベル部の立ち合いのもと、人数や換気状況を視察したうえで、感染対策ガイドラインをつくった。このほかアンケートをとって要望を可視化して大学に示した。使いたい団体はけっこういた。

︱個人学生の使用も解禁された。

副幹事長団体としての利用が認められた後も、個人としての利用は不可になっていた。団体利用時の割り当て表の撤廃を議論するなかで、5月の全体的な制限撤廃に向け、実験的にトレーニングルームを開放するという話を大学側が持ちかけてきた。その結果、平日の12時から14時までの2時間のみ一般開放することになった。

︱使用の手続きは。

副5月8日までは、同時利用を20人以内に制限する運用にしている。事務室で受付して、超えそうな場合はストップをかける。

︱他の施設の一般開放は。

現今のところしていない。5月8日の制限撤廃後は、体育館のメインフロアと農学部グラウンドの一般開放が再開する見込み。農学部グラウンドに関しては、どういう形式で運用するか、農G会という関係団体の会議体で調整してもらう。おそらく平日昼の2時間程度、また使えるようになると思う。

︱体育会の会員数の推移は。

前20、21年は一般利用が見込めない状況で会員が増えず、各部で部員をどう増やすかがもっぱらの問題だった。対面での新歓ができるようになって回復し、今は各部の人数はコロナ前と遜色ない印象。一方、一般会員は少ない。

︱今年のビラ紅萠祭の参加者は。

現飛び込み参加の団体もあり、約260団体が集まった。来場者は約2550名で、去年より300名ほど多い。我々としては新入生の動員を増やそうという目標を立てていた。ツイッターアカウントで、参加団体から募った動画の投稿を実施したところ、団体側の参加も去年より70ほど増えた。存在に気づいていなかった団体も多かったのかもしれない。あとはグラウンド内でのステージ企画もなんとか形になった。

︱この開催形式が定着しそうか。

現元に戻したい気持ちもある。次の代には、時計台前広場でしっかり構えてアピールをする従来の形で、がんばってほしいなと思う。

︱一連のコロナ対応について。

現私自身、20年入学。ずっと辛い思いをしてきて、理不尽だなと思うこともあった。夜遅くまで対応を検討したうえで大学に掛け合っても、「次のガイドライン更新を待って」という回答が返ってきたり。逆に、急に緩和が決まって肩透かしをくらい、やるせない気持ちにもなった。結局大学が動くのを待つしかないというのは情けないし、悔しい。5月に制限が撤廃されれば、やっと何もない状態で過ごせる。それは楽しみだし、うれしい。

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団体の声 環境サークルえこみっと
「もともとグレーだった教室借用がコロナで厳しく」


20年12月の連載第2弾では、体育会本部以外に9団体に話を聞いた。そのひとつである環境サークルえこみっとに、今回改めて取材した。2年半前は、11月祭の開催が不透明で、主たる活動である会場でのゴミ分別運営の実施が見通せない状況だった。3年ぶりの会場での対面開催を経た今、団体の現状を聞いた。(村)

︱久々の11月祭で、ノウハウは。

かつての11月祭を知らない状態。先輩に聞いて資料を確認し、なんとか対応した。

︱過去の資料と比較して感じた違いは。

基本的には同じ。開催場所変更に伴い、体育館にごみ箱を設置した。それと、模擬店会場で、以前は洗える皿を貸し出していたが、感染対策的に不安を抱く人がいると考え、配布を中止した。

︱使い捨ての皿に変えた。

そう。各模擬店に用意してもらった。こちらの人員不足の影響もあった。

︱団体の学年の構成は。

4回生2人と2回生2人。3回生はいない。コロナ前は2回生が運営の中心だったが、人員不足に苦しみ、昨年の11月祭は当時3回生の自分たちが対応した。

︱他の活動への影響は。

我々が運営する恒例行事「リサイクル市」は、昔は総合人間学部棟を使っていたが、教務から使用を認めないと言われた。今年は文学部学友会に部屋を借りて実施した。もともと対大学的にグレーだった部分が、コロナを機に厳しくなっている。ほぼすべての学部教務に連絡して協力を求めたが、よい返事をもらえなかった。

︱大学のコロナ対応に関して思うことは。

今春にかなり緩和されたが、それまでは社会一般の感覚と比べて厳しかったと思う。大学のガイドラインを遵守した結果、できることに限りがあり、新入生が入ってこないという事態になっている。

︱5月に制限撤廃の見込み。

状況がよくなればいいなと思う。

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他大学 すでに制限撤廃の大学も 5月にさらなる緩和へ


各大学はどのような感染対策をとっているのか。学生数が1万人以上の国立大学の授業や課外活動について、ウェブサイトや事務への問い合わせで得た情報を左表にまとめた。

昨年度後期の授業は、全大学が前期の対応を維持または緩和し、対面中心で実施した。

大学全体の活動制限については、4月時点で撤廃している大学が複数あるほか、5月に改める旨を予告している大学もある。

課外活動でも、遠征を除いて届け出を廃止したり会食の制限をなくしたりと、制限緩和の傾向が見られる。

※授業形態の情報は文科省の調査より抜粋


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