ニュース

京大 人文研の附属施設を改組 市民との協業で人文知の創出へ

2023.10.01

京大 人文研の附属施設を改組 市民との協業で人文知の創出へ

改組されたセンター

京大は、人文科学研究所規程を改正し、10月1日付で東アジア人文情報学研究センターを人文情報学創新センターに改組した。京大は、改組の目的を、汎用的な学術資源の情報化・情報発信に取り組むことに加え、「市民との協業」を重視して、新たな人文知の領域の創出を目指すためと説明した。今回の改組にともない、教員が2名増員された。

人文科学研究所は、1965年に設置した東洋学文献センターを、2000年に漢字情報研究センターへ、09年に東アジア人文情報学研究センターへと改組し、漢字史料の研究と情報化を進めてきた。10年代以降には、近現代日本社会に関わる諸史料の収集・整理も実施してきたが、史料の点数が膨大であるため情報化が遅れ、学術資源が逸失する「危機に直面してい」ると説明。東アジア人文情報学研究センターで培った技術を近現代史料にも応用するために、今回改組を実施したという。

今後、人文情報学創新センターは、研究者だけでは思いつかない人文学の課題を発見し、新たな人文学の領域を創出するために、特に1950~70年代の近現代史料について所蔵者や関係者など同時代を生きた人々と研究者との対話の場を設けるとした。岩城卓二・人文研所長は、人文研HPで「人文学者は現代社会の優れた観察者でなければいけませんが、市民との協業はその絶好の機会にもなり、知の融合は人文学の新しい方向性を生み出すことにつながる」と述べた。