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吉田寮自治会 署名5千筆提出 訴訟取り下げ求め 「不当な裁判に変化を」

2024.01.16

吉田寮自治会 署名5千筆提出 訴訟取り下げ求め 「不当な裁判に変化を」

イベントで寮を利用するという学生や、教員の立場で支援を呼びかける佐藤公美氏も登壇した(=時計台前)

京大当局が吉田寮現棟の明け渡しを求めて寮生を提訴した裁判をめぐり、吉田寮自治会が12月20日、訴訟の取り下げと対話の再開を求めて5826筆の賛同者署名を提出した。本部棟で湊総長と國府学生担当理事に渡そうとしたものの応じられず、厚生課職員に取り次ぎを依頼したという。

提出後に寮生らが記者会見を開き、「不当な裁判に署名で変化を加えたい」と訴えた。出席した元寮生は、過去に入寮選考を担当した際、様々な事情を抱える学生を見たと振り返った。「裕福でも学費負担者と関係が悪かったり、自費で留学に来たり」と例を挙げ、既存の支援から漏れる学生がいると指摘。これに対し「一人ずつ面接で事情を聞いて拾っていけるのが自治寮の強み」と述べ、大学が「寮自治会は無責任」として退去を求める状況に「絶望感や焦燥感がある」と吐露した。

署名は昨年5月からオンライン署名サイトで集めた。京大の学生・教員のほか、卒業生や他大学生、海外にいる元留学生らが名を連ねたという。提出後も募集を続けており、1月11日時点で5910筆を数える。

▽署名を総長らに取り次いだか▽訴訟取り下げや交渉に応じる可能性があるかを本紙が京大に尋ねたところ、まとめて「係争中につき、回答は差し控える」との返答だった。昨年9月には、教員有志が寮問題をめぐって総長に懇談を申し入れており、これも「係争中」を理由に拒否されている。訴訟方針の検討に教員が関与する余地について、本紙が京大に尋ねたところ、同じく「係争中につき……」との返答を得た。

訴訟は19年4月に始まり、昨年10月に結審した。築110年を超える現棟の老朽化の度合いや、双方の間で結ばれてきた「話し合いの原則」を含む確約書の扱いが争点で、2月16日に地裁判決が言い渡される。

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