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職組 国際卓越大落選受け声明 政府・京大に「根底的」転換求める

2023.10.16

職組 国際卓越大落選受け声明 政府・京大に「根底的」転換求める

声明について説明する職組委員長ら

10月4日、京大職員組合は「国際卓越研究大学問題にかかわる声明」を発表した。声明は国際卓越研究大学への落選を契機としたもので、京大執行部や政府・文科省などに対し、京都大学のあり方や日本の大学政策について「根底的な方向転換」を求めた。職員組合中央執行委員の駒込武・教育学研究科教授は会見で、声明文の総長らへの提出に意欲を示した。

声明文は京大職組中央執行委員会名義で発表し、国立大学法人化をはじめ、これまでの政策における「選択と集中」などに研究力低下の「根本的要因」があると指摘した。そのうえで▼政府・文科省に対し、国際卓越研究大学制度の廃止と、予算配分の方法を見直すことで「公費で大学を維持する責任を果たす」こと▼京大執行部に対して、同制度への再申請を断念すること、また基盤的経費の充実と安定財源化を求める動きのリーダーシップをとること▼京大の構成員に対し「それぞれのやり方で市民社会に対する説明責任に向き合う」ことを提言した。駒込教授は会見で、京大構成員への提言を盛り込むことは「異例」だとした。

声明ではその他▼申請にかかわる教授会資料を「取扱注意」「部外秘」としたこと▼申請前に記者会見を開かなかったこと▼湊総長が教職員向けに開いた説明会が一方向性のウェビナー形式だったことを批判した。そのうえで、国際卓越研究大学の選考において、京都大学の落選理由に「学内の意思統一の不十分さ」を挙げた報道に触れ、執行部に対し「ボトムアップな意思形成の仕組み」を再構築することも求めた。

〇国際卓越大制度の概要

国際卓越研究大学制度は、社会に変化をもたらす研究成果を上げることが期待される大学を国が認定するもの。認定校が作成する計画に基づき、10兆円を運用する「大学ファンド」が年に数百億円を拠出する一方で、認定された大学は大学ファンドへの資金拠出や事業成長に加え、学外者が半数以上を占める総長の人事権を持つ合議制機関の設置など、制度改革も課される。

第1回の公募には京大など国私立の10大学が申請した。書類審査や現地調査を経て、東北大が最終候補に選ばれた。

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