「痛みのない雇用」拡大に警鐘 脇田滋・龍谷大教授が講演(2009.08.01)

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7月27日、文学部新館第3教室にて、京大非常勤職員5年条項撤廃を訴える元職員らが主催する講演会に龍谷大学法学部・脇田滋教授が招かれ、専門の労働法の見地から講演を行った。脇田教授は労働法・社会保障法を専門としており、派遣労働などの非正規雇用に関して積極的な提言を行っている。

講演会は「5年でくびは許されるのか」と題した、主催者の井上正哉・小川恭平氏との対談形式で、2人の質問に脇田氏が答えていく形で進められた。来訪者は50人ほど。

脇田氏によれば、労働法上は期間を定めない雇用が基本であり、雇用者の経済状況が急変し、仕事自体が消滅するなどの変化がない限り、業務上の合理性が保たれず、職場自体も経験ある職員の欠如で混乱をきたすため、原則として被用者の交代や解雇は許されない。一方で、期間雇用の本来の趣旨は前近代の低賃金拘束労働を否定するところにあり、更新の打ち切りによって解雇を促すためのものではないと説明。

1年間の労働契約は、雇用者のみならず、被用者側も遵守しなければならないのが原則となる。

期待権発生を未然に防ぐことを目的とした更新打ち切りの通告に関しては、最高裁判例やドイツ法の連鎖契約の法理を援用し、その脱法性を説明した。期待権の発生には事務能力の習熟など客観的な状況が考慮され、昭和49年の東芝柳町事件判決がリーディングケースになっており、例外として扱われやすい公務員のケースでも慰謝料等の対処がなされる傾向があることを紹介。

雇用保険や派遣労働の問題にも話題が及び、派遣業務の原則自由化に伴う就労期間3年については雇用者側の雇用義務期間として解釈せねばならず、現場の誤解が蔓延していると説明。訴訟すれば勝てる問題が不当に放置され、実体のない派遣会社に責任を被せる「痛みのない雇用」が拡大していることに警戒を促した。


《本紙に写真掲載》

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