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理・工 特色入試に女子枠 多様性確保し研究の質向上へ

2024.04.16

理・工 特色入試に女子枠 多様性確保し研究の質向上へ
京大は3月21日、理学部と工学部の特色入試で女性限定の募集枠を新たに設置すると発表した。2026年度入学者の選抜から導入し、理学部に15名、工学部に24名分の女子枠を新設する。設置の目的に「構成員の多様性の確保」をあげた。(=7面に関連記事)

これまで実施してきた「一般枠」とは別に「女性募集枠」を新設する。両枠を合計した定員のうち、女子枠の定員は両学部ともに約4割を占める。一般枠との併願は、理学部と工学部電気電子工学科では認められないが、工学部のその他学科では認められる。なお、建築学科に女子枠は設置されない。理学部では総合型選抜、工学部では学校推薦型選抜となる。

理学部では、物理学・数学入試、宇宙・地球惑星科学入試を新たに設ける。この入試枠は女性のみの募集となる。

京大によると、22年度後半から女子枠の設置の検討を開始したという。女子学生比率が極端に低い状況は、学生が男女比率において実社会とかけ離れた環境で生活することになるため「教育環境として望ましくない」と判断したと説明する。

23年時点で京大の学部学生の女子比率は22%。その中でも理学部は8%、工学部は10%と他学部よりも低い水準にある。京大は、女子比率が顕著に低い状況を是正する必要があると考え、理学部と工学部の一部学科への設置を決めたと説明する。

京大によると、特色入試の女子枠設置を他学部で実施する予定はない。また、一般入試のクオータ制(特定の属性を持つ者に一定の定員を割り当てる措置)の導入は検討していない。

特色入試に女子枠を設置した理由として、京大は「一般選抜では測りにくい多様な能力や志も含めて総合的に評価できる」ことをあげた。なお、特色入試の活用は、女子学生を増やすための取り組みの1つとして、京都大学男女共同参画推進アクションプラン(2022年度〜2027年度)に掲げられている。

京大はジェンダーバランス是正のための取り組みとして、女子生徒の参加が多い高校生向けの講座「ELCAS」やポスターセッションなどを例にあげ、今後も「女性の志願者が増えるような取り組みを実施していく」と説明した。今回の決定について「多様性が増すことで、大学教育が活性化し、研究の質の向上にもつながる」とコメントした。

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