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井垣達吏教授 大阪科学賞 がん細胞の制御を研究

2020.11.01

大阪府や大阪市は9月24日、第38回大阪科学賞を井垣達吏・京大大学院生命科学研究科教授に授与すると発表した。細胞競合によってがん細胞が制御されることを発見し、その仕組みを解析した研究が評価された。

細胞競合は、1975年に発見された、体の中の変異細胞が正常細胞に囲まれて消失する現象であり、これまで注目されることは少なかった。井垣教授は、ショウジョウバエを用いたがんの制御メカニズムの研究の中で、がんの元になる異常細胞が正常細胞に近接すると自滅することを発見した。これは、細胞競合ががんの抑制に働いていることを見つけた点で画期的であるという。さらに、正常細胞が異常細胞を認識して細胞死を誘導する仕組みを解析し、明らかにした。

井垣教授は、細胞間コミュニケーションの研究を専門とする生物学者である。神戸大学准教授などを経て、2013年に生命科学研究科教授に着任した。11月28日には、井垣教授による受賞記念講演が大阪科学技術センターで表彰式とともに行われる予定である。参加申し込みは同賞のホームページを参照の上、メールで行うことができる。Zoomを用いたオンラインによる視聴も可能となっている。

大阪科学賞は、近畿地方において科学技術の研究開発に貢献した50歳以下の研究者に授与される賞である。1983年に創設され、毎年2名の研究者を表彰しており、今回が38回目となる。今回は、井垣教授の他に、「生体イメージング」の技術を用いて骨の中の細胞を観察した石井優・大阪大学大学院生命機能研究科教授も受賞した。

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