文化

博麗神主 幻想「京」入り 東方Project 作者ZUN氏が講演

2015.12.16

人気ゲーム「東方Project」の作者ZUN氏を招く熊野寮祭の企画「博麗神主ZUN講演会 幻樂団の歴史‐Chart of a Strange Creator.」が11月28日に熊野寮の食堂で催され、学内外の多くのファンが集まった。

「東方Project」は同人サークル・上海アリス幻樂団が制作する弾幕シューティングゲーム。少女のキャラクターが数多く登場し、二次創作とともに一大コンテンツを形づくっている。ZUN氏は作品のほとんどを一人で制作しており、ファンからは「博麗神主」の愛称で親しまれている。

講演は氏の大好物であるビールの話から始まり、京都大学や熊野寮の自由な雰囲気について触れた。自身の大学生活は「最低限の単位を取りに大学に通う以外は、ゲーセンに行くか家でゲームを作るかの日々だった」と振り返り、「大学では卒業後ゲーム会社に就職するためだけに勉強している感じだった」という。社会人になってからは、ゲーム会社で仕事をしては、帰宅後もプログラミングの勉強をしながら同人ゲームを制作するという生活で、睡眠時間もほとんど確保できず、「ゲームを作るのに必死だった」という。ZUN氏は自身の作品を企画化する提案を内外の会社から受けたが、「コンテンツが会社のものになるのはもったいない。ゲームを作るのが楽しいのであって、自分で作れなくなったらおしまい」という考えから全て断ったそうだ。

自身のゲーム作品である「東方Project」シリーズについては、それぞれの制作時期を追いながら、来場者の質問に回答。元々ゲームミュージックを作りたいと思っており、そのためにはゲームも自分で作らなければと考えた。神社仏閣を訪れるのが好きで、「主人公に巫女を使いたかった」。弾幕シューティングゲームという形態と、現時点で男性キャラクターが一人しかいないことについては「女の子がキャッキャワイワイしているのが見たいし、弾幕は男性的じゃない」と持論を展開。また早くから「キャラクターの時代」が来ると見越していたと明かした。

ゲームの制作については「作るたびに楽しいし快感」と語る一方で、楽しいことが1割だとすると残りの9割は「辛いし、きつい」という。だから結果を求める人はその現実を前に挫折すると語り、自分は「出来たゲームが欲しいわけじゃない。ゲームを作っているのが楽しい」と強調した。

将来の夢は居酒屋を開くことだというZUN氏は、60歳、70歳になっても東方について語り合う場を作りたいと語った。

最後にサプライズとして、公式マガジンのサイン本が5名の来場者に抽選でプレゼントされ、会場を沸かせた。

熊野寮祭は例年11月末から12月初めにかけて開催されている。今年は11月27日から12月6日まで行われた。(交)

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