文化

竹の「よろづ」の可能性 学生主催シンポで考える未来社会

2026.02.16

竹の「よろづ」の可能性 学生主催シンポで考える未来社会

グループ討論で出された意見の数々

2月8日、京都経済センター(下京区)でシンポジウム「京都府の竹林・森林の活用と可能性〜未来の森林研究会 第3回〜」が開催された。植物としての竹の生態や活用法、竹林や森林の維持管理について学生や研究者、市職員などが講演し、参加者全員によるグループ討論も行われた。京大のサークル「森里海と文化研究会」に所属する倉内洋翔さん(農・4)が企画し、同サークルが主催した。

「竹に関わる様々な分野の専門家の話を通じて、様々な分野の人々と持続可能な社会の形を考えていきたい」。倉内さんによるイベントの趣旨説明ののち、5人の演者が竹に関する話題を紹介した。

京都市産業観光局農林振興室の藤原英司さんは、自身が携わってきた竹林や森林の維持管理について紹介した。一例として挙げた桂や北山の地域では、後継者の不在や事業の赤字化によって管理不足の竹林が増加しており、里山林への竹の侵入や風や雪による倒竹が懸念されているという。健全な竹林や森林を生育するためには、定期的な見回りや組合を中心とした事業の集約化で管理体制を強化しながら、インテリア材など新たな需要を生み消費につなげることが重要だと話した。

同じく農林振興室の佐藤王也さんは、竹林に関する京都市の取り組みを紹介した。近年減少している竹材の利用を促進するため、竹を利用した民間事業の公募や竹林整備に関わる人材の育成、竹製の魚道の設置支援、竹から作った灯篭で寺社をライトアップするイベントの支援などを行ったという。これらの取り組みにおいて民間が果たす役割は大きいとし、市民一人ひとりが竹をどうしたいか考えることに大きな意義があると語った。

森林総合研究所の小林慧人研究員は、植物としての竹の生態について解説した。日本に生息する4種の竹は、1つの個体が地下茎を伸ばすことでクローン的に生息地を拡大するという共通点がある一方、タケノコを生やす時期などの生態特性や、人間による管理手法は種ごとに異なる。放置竹林問題の解決には、地域別の竹の種の内訳や管理体系などの基盤情報を蓄積していくことが大事だと力説した。

このほか、森里海と文化研究会の北川晟慈さん(農・3)は、サークルとして行った竹炭焼きの活動や竹炭の頒布などの取り組みについて報告し、京大化学研究所の峰尾恵人特定助教は、竹と人の関わり方が時代によってどう変遷してきたかについて紹介した。

講演終了後、テーマ別のグループ討論が行われた。筆者が参加したグループでは、流体解析を専門とする学生の参加者が「クローンで増える竹は拡散のしかたを数理モデル化しやすいのでは。放置竹林の拡大を予測して先手を打った対策ができるかもしれない」と提案すると、別の参加者が「土壌によって竹の広がり方は違うので、土壌の条件も考慮したモデルにする必要がある」と指摘するなど、白熱した議論が繰り広げられた。別のグループでは、竹林と人々の関わりを増やす方法として、竹を用いたビジネスプランのコンテストの開催や、竹を持て余している人と使いたい人をマッチングさせるアプリの開発など、様々なアイデアが出された。

イベント終了後、企画者の倉内さんは「複雑な社会問題の解決には、様々な立場の人が対話する場が必要だという問題意識があったため、討論が実りあるものになるように登壇者にも協力をお願いしながら各講演のテーマを設定した。狙い通り討論が盛り上がってよかった」と振り返った。環境を守るために一人ひとりが実践できることを尋ねると、「月に1回でもいいので自然豊かな場所に行ったり、弊会のような自然と関わるサークルやイベントに参加したりして、実体験を通じて環境への意識を高めることが将来につながる」と話した。(鷲)

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