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大学国際化と制度改革に重点 文科省2014年度概算要求

2013.10.01

8月30日、文部科学省は財務省に対して2014年度予算の概算要求を行った。今後この要求に基づいて財務省の査定が実施され、閣議に提出された財務省原案に則って予算の概算が決定されることとなる。

大学教育のグローバル展開の推進に予算が割かれる中で、「スーパーグローバル大学事業」案が新規に提出された。スーパーグローバル大学は世界水準の教育研究を進める10校の「トップレベル大学」と積極的な国際教育を行う20校の「グローバルトップ大学」からなり、国公私立を問わずに選定される。採択を受けた大学機関に対しては、教育体制整備に加え、英語講義による単位取得や外国人学生の戦略的受入れ等の試みを「制度と予算を総動員」して支援するという。

また、海外留学支援予算も増額された。留学生への奨学金拡充や、大学・企業等との連携による研修の実施等、官民協力の支援体制を整えることに加え、無利子貸与の留学奨学金も新規に創設される見通しだ。加えて外国人留学生奨学金制度の充実や就職支援の強化など、外国人留学生の受け入れ環境の整備も進めることで、国内外の学生の双方向交流の活発化を期待している。

かねてより進められてきた国立大学改革も大幅な予算増額をもって継続される。教育研究組織の再編成や教員の年俸制など人事給与システムの刷新を積極的に行う大学には運営費交付金を重点的に配分する考えだ。これによって、実力ある若手・外国人研究者の登用を進め、国際研究力の強化を狙う。新たな「大学改革加速プログラム」においては、教育再生実行会議等で示された方向性(学事暦の見直し、入試改革、ギャップターム活動、高大接続等)に合致した取組を行う大学を支援する。一方で産学連携も一層推し進められる。就職・採用時期の後ろ倒しを見据えて、インターンシップ充実の取り組みなどが新しく予算内に組み込まれた。

奨学金事業の充実については、前述の通り海外留学のための無利子奨学金制度の創設に加え、大学等進学における無利子奨学金貸与者の人員を増加することで、無利子奨学金の普及を加速させる。また経済困難を理由とする返還期限猶予の制限年数を延長することや、適用基準の緩和、延滞金賦課率の10%から5%への引き下げ等を通じ、奨学金返還者に対する救済措置を一層講じる。その他授業料免除枠を拡大するとともに、学生が学びつつ自分の大学で働く「学内ワークスタディ」への支援も行うという。

また社会人の「学び直し」にも焦点が当てられた。教育機関と産業界等の協働の下で具体的な職能の向上のための学習システムを構築し、特に社会人や女性の学び直しを推進する事業が拡充される。加えて産業界と協働したオーダーメイド型の教育プログラム開発等を支援する「社会人学び直し大学院プログラム」も新規に提出された。

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