独自の授業料免除 段階的廃止へ 削減分で院生支援か 反対署名8000超
2025.12.16
学部生の授業料免除制度の概要
現在、学部生の授業料免除には、国の制度と京大の独自制度がある。国の制度は、低所得者層を対象とする。一方、京大の独自制度は国の制度から漏れる中所得者層も対象とし、国の制度との差額分を補填してきた。来年度以降の新入生も、国による制度の支援を受けることは可能である。なお、大学院生は今回の変更による影響を受けない。
京大はウェブサイト上で、国の制度による「支援が拡充されている状況」を受けた変更と説明。25年度から、年収にかかわらず、子どもを3人以上扶養する多子世帯の授業料が全額免除されるようになったことを例に挙げた。変更によって影響を受ける、多子世帯以外の学生への対応を、京大は明らかにしていない。
10月中に教育学部や理学部の特色入試への出願は終了していたにもかかわらず、京大は11月に今回の変更に関する文書をウェブサイトの授業料免除のページに掲載した。12月12日に発表した26年度の一般選抜学生募集要項では、京大独自の入学料・授業料免除制度に関する記述を削除するのみで、変更点に関する説明はなかった。
関係者によると、現在、独自制度による学部生への支援には、大学院生の支援に本来使われるはずの予算が充てられている。今回の変更で削減された予算は大学院生の支援に回される予定だという。
また、関係者によると、9月10日の学生生活委員会で今回の変更が審議された。7月の会議では、國府寛司委員長(学生担当理事)が第一小委員会での審議を開始する旨を報告していたという。第一小委員会は学生生活委員会の下に設置され、経済・キャリア支援、学生相談に関する事項を扱う。京大のウェブサイトで公表された議事録によると、10月14日開催の研究科長部会、28日開催の教育研究評議会と役員会で、「学部学生における授業料免除等の取扱い変更(案)について」という議案を扱っている。
今回の変更に反対する声も挙がっている。独自制度による免除を受けていた学生を中心に、30人を超える京大の学部生・大学院生・卒業生、他大生などが「京大独自の入学料・授業料免除制度変更に反対する会」を12月7日に発足させた。支援の対象から漏れてしまう学生が増えることや、十分に検討する時間的な猶予が受験生にないことを問題点として挙げている。同会は学生の意見を可視化するためのアンケートを実施し、オンライン署名を呼びかけている。今後は、京大に変更の経緯や内容の説明を求めるとともに、制度変更の撤回や支援の拡充を要望していく予定だという。
12月5日、本紙は京大に、▼代替の支援策の有無▼受験生への周知の有無▼これまでの支援状況などを質問した。京大は「担当部署での数字の確認に時間がかかっている」として、期日を過ぎた19日までに回答をしていない。また、本件に関して本紙へのプレスリリースの提供はなかった。
解説
国による高等教育の修学支援新制度は、返還を要しない給付型奨学金と入学料・授業料の免除がセットになった学生支援であり、2020年4月から開始された。京大では、国による同制度を京大独自の制度が補う形で学部生の入学料・授業料が免除されている。
国の制度は低所得世帯を対象とし、世帯年収によって授業料の免除額と給付型奨学金の支給額が変動する。日本学生支援機構が認定した給付型奨学金に関する支援区分に応じて、授業料の免除額に関する区分(全額免除・3分の2免除・3分の1免除)も決定される。京大の独自制度は国の制度を補填するもの。新制度の申請資格を満たさない学生や、新制度において、3分の2免除・3分の1免除となった学生に対して、全額免除・半額免除となるよう差額を予算の範囲内で補填していた。
国による修学支援新制度が開始される以前は、国が各国立大学に対し、一定割合の学生の授業料を減免できるように、必要費用を上乗せして運営費交付金の一部として交付していた。各国立大学は、上乗せ分を用いて、独自の基準で授業料免除を行っていた。京大では、国からの上乗せ分に加え、自己財源を活用して、中所得世帯にも免除を実施してきた。
修学支援新制度の開始によって、低所得世帯への支援が厚くなる一方で、新制度の年収基準を上回る世帯は支援の対象外になった。京大は従来と同水準の支援を続けるため、自己財源による独自制度を設けていた。
お詫びと訂正
「京大 独自の授業料免除 新入生対象外へ」(本紙12月1日号)において、「昨年度は、京大独自の授業料免除に約1100人の学部生が出願して、約900人が許可された。」と記載していましたが、「昨年度は、京大独自の授業料免除に前期後期合算で約1000人の学部生が出願して、延べ約900人が許可された。」に改めます。この数字は前期後期合算の延べ人数でした。重複して計算されている学生を含んでいる可能性があり、誤解を招く表現でした。お詫びし、訂正いたします。
