学生ら署名1万筆と質問提出 独自の授業料免除変更 背景は
2026.02.16
職員に署名を提出する有志代表=学務部棟
京大は、制度変更の目的は「本来予算配分されている」大学院生への予算使用だとし、考慮要素に▼経過措置▼国の支援拡充の2点を挙げる。
これまでの制度を振り返る。文科省によると、国は2004年の国立大学法人化以降、各大学の定員の一定割合の学生に対して授業料を減免できるように、相当額を運営費交付金に上乗せしてきた。各大学は上乗せ分などを用い、独自の基準で減免を実施していた。
国は20年、学部生のみを対象に一律の授業料減免制度(修学支援新制度)を開始した。新制度対象者の授業料相当額は別枠で国が交付するようになり、学部生分の上乗せは原則なくなった。それでも大学院生分は、従来の上乗せ交付が続く。京大はそれを学部生と院生の双方に用いて独自制度を続けてきたという。
京大は独自制度を「(国の新制度が開始した)当初から経過措置として位置づけていた」と強調する。しかし、本紙の情報公開請求に対し京大は2月、経過措置だと記した当時の文書は「作成していない」と回答した。本紙が確認したところ、当時の発表文書にもそうした記載はなかった。
一方、今回の変更を決めた役員会の資料には、これまでの経緯として「当面の間(制度を継続している)」との記載があった。19年度に独自制度継続を主導した川添信介・元学生担当理事も本紙に、「とりあえず制度継続の判断をした」「先のことは何も決めていなかった」と述べた。「さしあたり・とりあえず」という意味の「当面」と、過渡的措置という意味の「経過措置」は異なる可能性がある。
国の支援は十分か。京大は、国が今年度開始した、扶養する子が3人以上の多子世帯への授業料全額免除を例示する。だが、文科省のサイトによると、多子世帯無償化は「理想の数の子供を諦めることがない社会の実現」を目指すもの。学生支援に詳しい桜美林大学の小林雅之特任教授は、教育機会均等というあるべき目的からねじれた制度だと指摘する。川添元理事も、これが廃止理由なら「理由が解せない」と述べた。
なお京大から開示された文書には、今年度前期(昨年9月時点)の多子世帯学生の人数が「1491人(学部学生の約12%)」と書かれていた。予算額や詳細な人数は不開示とされた。
今回の変更で生じる削減分は、大学院生の授業料免除に使われる。川添元理事はその背景として、「卓越大に選ばれるために大学院の方を充実させたかったのでは」と推察する。京大は昨年12月、世界最高水準の研究大学を目指して国から助成を受ける「国際卓越研究大学」の認定候補に選出された。國府寛司・学生担当理事はその際の記者会見で、今回の変更と「卓越大とは全く関係がない」と明言している。
受験生への影響は。川添元理事は「11月の発表は(入試や入学に)ちょっと近すぎる」「少なくとも1年先送りにすべき」と語った。文科省は1月13日、「受験生の準備に与える影響を各大学において検討・判断の上、可能な限り速やかに公表いただくことが望ましい」と本紙に回答した。京大は2月10日、「制度変更する場合には速やかに公開することを目指して慎重かつ迅速に議論を重ねて」きたとして、「受験生の準備に過度な負担や影響が生じることはないと認識している」と回答した。

