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「人種」の概念を問い直す 国際シンポジウム 「人種神話を解体する」

2013.01.16

12月15日、16日の両日、国立京都国際会館において、国際シンポジウム「人種神話を解体する」が開催された。京都大学人文科学研究所主催のこのシンポジウムには、日本国内だけでなく、海外からも研究者が参加し、様々な視点から、「人種」について問い直す研究発表が為された。

共同研究を行った、竹沢泰子氏、加藤和人氏、太田博樹氏は、遺伝学や生物医学における集団に対するラベリングについての研究成果を発表。科学論文の中には、実際にはごく限られた地域の集団をサンプルにしているにもかかわらず、そのサンプルに「モンゴロイド」や「コーカソイド」といった極端に一般化された名称を用いているものも多い。それらの不適切なラベリングは、単に集団間での差異を正当に評価することを困難にするだけでなく、根拠のない社会的差別を助長する危険をはらんでいる。また、遺伝学上のデータにおける差異は、多くの場合はその特徴の出現頻度の差であり、集団間で根本的な差があるわけではない、と述べた。また、結論として、こうしたラベリングに基づいて生じる恐れのある誤解を防ぐためには、文理を超えた、横断的な研究が必要であると発表を締めくくった。

《本紙に写真掲載》

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