文化

国際コース再潜入

2012.05.14

本紙3月16日号に、工学部地球工学科国際コースの取材記事を掲載した。その記事にはいくつか誤りがあり、その点について今号では訂正する。また、そのことをきっかけに今年度から新たに国際コース長に就任した木村亮教授に話を聞くことができた。改めて国際コースの内実に迫る。(P)

参考 潜入!国際コース(2012.03.16)

まず2012年度の留学生の入学者数は、6名と標記していたが、7名の誤りである。次に、「留学生が集まらなかったために,一般入試で工学部地球工学科に合格した日本人学生に向けて、国際コースの広報を行った」という標記にも誤りがある。木村教授の説明によると、最初から留学生の定員は30名であり、更に日本人は別枠で10名まで国際コースに入ることができると決まっていたという。日本人の枠を設けたのは、留学生を招き入れるだけではなく、日本人学生の国際化を視野に入れてのことだそうだ。

また、「入学のための英語の試験はほとんど意味がなかったのではないかと思われる」という標記にも誤りがある。11名の日本人が国際コースを志願し、それを10名に絞るために面接を行い、その際に英語での受け答えも行ったが、筆記試験等は行っていないとのことであった。

どうして定員割れが生じるのかと記者が訪ねると、木村教授は、そもそも工学部地球工学科の土木の分野だけで募集をしても、そう簡単に学生は集まらない,と述べた。工学部だけではなく、他学部が同じように留学生の枠をもうけて、英語で授業を提供するような取り組みを始めなくては学生が集まりにくい。

一般教養科目の英語での授業が少ないことについても、国際コースのような取り組みが学内に広がらない限りは、コストなどの問題もあって簡単には解決しない。これらのことを考えると、前回の記事で「国際コースの問題」として書いた問題は、むしろ京大全体の国際化推進の問題であるようだ。

国際コースは講義をすべて英語で行うだけでなく、留学生の最終面接を留学生のいる現地で(例えばケニアなど)で行うなど、今までの京大にない取り組みをしている。コースの奨学金は、文部科学省からは予算がつかず、有志の教授や企業の支出で成り立っているそうだ。この取り組みを成功させるためには、担当者の努力だけではなく、京大の他の部局や行政などを含む社会全体の協力が必要だろう。

記者は前回、国際コースの「定員割れ」などの問題について批判的に書いた。しかし木村教授の話を聞いたところ、むしろ発展途上の取り組みとして肯定的に取り上げるべきではないかと思い、このような記事を書いた。批判すべきところは批判しつつ、こうした取り組みはどうしたら広がるのかを考え、書くべきだと思った。不正確な情報に基づいて謝った記事を書いてしまった事をお詫び申し上げたい。

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