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トカゲの果実食 実態を解明 種子散布で森林更新に貢献か

2025.06.16

福山亮部・理学研博士課程学生、野依航・農学研博士課程学生、田金秀一郎・鹿児島大准教授、伊與田翔太・理学研修士課程学生(研究当時)、佐藤宏樹・アジア・アフリカ地域研究研究科准教授からなる研究グループは、マダガスカル北西部の熱帯乾燥林で、カメレオンを含む3種のトカゲが20種類以上の植物の果実を食べていることを明らかにした。また、排出された種子に発芽能力がある事を示した。この結果は、トカゲの果実食と種子散布が森林更新に貢献している可能性を示唆する。

従来、熱帯林におけるトカゲの種子散布は鳥類・哺乳類と比べ、ほとんど着目されてこなかった。グループはトカゲを種子散布者として正しく評価するため、野外調査を実施し、被食果実の種類と量を検証した。

グループは、ウスタレカメレオン、キュビエブキオトカゲ、ヒラオオビトカゲの野外における行動観察、捕獲個体の糞の内容物の分析、糞中の種子の発芽実験を行った。行動観察では、3種とも野生での果実食が観察された。糞分析では、捕獲個体の約2割の糞に植物の種子が確認された。観察された種子の種類は多様で、従来種子散布者として重視されてきたチャイロキツネザルとは食性が大きく異なっていた。発芽実験では、全ての果実種において発芽が確認された。

以上はマダガスカルの熱帯乾燥林においてトカゲが多種類の果実を食し、食べられた種も発芽しうることを示す。また、トカゲが種子散布や森林の更新において、従来注目されてきた種子散布者とは異なる役割を果たしていることも示唆する。この結果は今まで考えられてきた以上にトカゲが種子散布者として重要な役割を果たしていることを示している。

グループによると、マダガスカルでは現在各地で人間活動による森林の減少・劣化が進んでいる。調査対象の3種のトカゲは、チャイロキツネザルといった大型種子散布者と異なり、荒廃した環境でも生息が可能だ。このためトカゲは劣化した環境の回復に貢献することが予想される。本紙の取材に対し研究メンバーの福山氏は、「本研究でトカゲが種子散布者として森林の更新に貢献しうることを明らかにしたことで、マダガスカルの森林がどう維持されているかの理解が進み、保全に役立てられていくことが期待される」と述べた。

本研究成果は、5月29日に学術誌「Biotropica」にオンライン掲載された。

本紙4月16日号に福山さんのインタビュー記事を掲載しています。こちらからご覧ください。

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