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【独自】学生向け診療所 4月開設へ 精神科の初期診療のみ可能

2025.03.13

【独自】学生向け診療所 4月開設へ 精神科の初期診療のみ可能
4月より、京大が精神科医の常駐する学生向けの診療所を開設することが関係者への取材でわかった。当面の運営方針として、日本人学生の初期対応に限って診療と院外処方箋の発行を行うことが2月の部局長会議で決定したという。学外の精神科で受診の予約に時間を要する状況があることを踏まえたもので、受診を必要とする学生と所属部局の教職員の負担軽減を目指すとしている。

関係者によると、部局からの要望を踏まえ、学内関係者を含めて学生総合支援機構内で議論を行ってきた。設置の経緯には、コロナ禍以降、学内で精神面の不調に関して緊急性の高い事案が増加しているにもかかわらず、外部機関での受診に時間を要する状況があるという。

当面の運営方針は以下の通り。▼名称は学生メンタルヘルスセンター(仮)で、日本人学生を対象に25年4月1日から診療を開始する▼学生総合支援機構に設置し、吉田キャンパスにある健康管理室で診療する▼診療は精神科のみで、診断は初期対応の2、3回以内▼健康保険が適用されない自由診療で、診療料と処方箋料は無料。

閉鎖から3年


22年3月、京大は学外の医療機関の増加により保健診療所(吉田・宇治・桂)の利用者が著しく減少した状態が続いているとして、保健診療所を閉鎖した。保健診療所は、内科・神経科の診療や保健サービスを実施する施設で、京大の学生・教員は無料で相談・受診することができた。投薬治療には健康保険が効かず、利用者が全額負担していた。

京大は診察終了にあたり、保険診療所では健康保険を使用することができず安価な治療薬しか処方しないこと、医師数に限りがあり十分な診療科や診療時間を提供できないことを指摘したうえで、大学周辺に民間医院が開設し、保健診療所の利用者が減少したことを終了の理由だとした。学生有志による「保健診療所の存続を求める会」は、投薬治療を含めた一般治療を予約不要で受けられる保健診療所が学外施設で代替不能だとして、廃止を撤回するように求めていた。対して京大は、学生総合支援機構を設立して、精神面の不調への対応を拡充する方針を示した。23年度からは学生相談窓口を開設し、カウンセリングを実施してきた。

23年12月のインタビュー取材で湊総長は、精神面のケアに資本を向けたことは事実だとしながらも、保健診療所の全面閉鎖を指示した事実はなく、当時の担当者との間に行き違いがあったと述べた。それを踏まえた上で、精神科領域の相談事に関する対策が不足しているとして、医療の介入を含めた体制作りの必要性に言及していた。

保健診療所と比較すると、今回開設するセンターでは当面の方針として留学生・教員が受診できないほか、診療科を精神科に限る。場所は吉田キャンパスのみで開設する。また、新たに診療回数に制限が設けられる。

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