文化

〈シンポジウム〉吉田寮 大学自治を考えるシンポ開催 学費問題で東大からも登壇

2025.01.16

〈シンポジウム〉吉田寮 大学自治を考えるシンポ開催 学費問題で東大からも登壇

登壇者の話に耳を傾ける参加者(吉田寮自治会提供)

12月19日、吉田寮自治会主催のシンポジウム「学費値上げ問題から考える 学ぶ権利と大学自治」が吉田南構内で行われた。当日は4名の京大教員が登壇し、吉田寮訴訟の第一審判決を踏まえ大学自治について意見を述べた。また、東大の教員及び学生が学費値上げに際して学生間で起こった運動を振り返り、大学の組織改革に疑問を呈した。

元寮生でもある伊勢田哲治・文学研教授は、寮問題を扱う学生生活委員であった頃を振り返り、川添理事(当時)とのやり取りで、大学の真意は寮自治会の解体にあるとの印象を抱いたと述べた。自身が寮生だった時にも廃寮方針が決定したが、寮自治会と学生部長の団体交渉により一定の条件下で存続が決まったという。当時わずか半年で合意形成に至ったことを踏まえて、大学当局に対話による早期解決を図るよう求めた。

東大からは、オンラインで4名が参加した。隠岐さや香・教育学研教授は、特に規模の大きい国立大学に設置が義務付けられた運営方針会議はトップダウン型の組織であり、学生からの意見を反映する仕組みがないことは問題だと指摘した。教養学部4年の金澤伶さんは、学費値上げに反対し、国会議員にロビイングを行う院内集会を主催した。活動を通して「大学そのものが学外権力から自由になっていないことが問題の根底にある」と考えるようになったといい、学生の影響力を上げることが必要だと述べた。

当日はオンライン参加も含めて、90名ほどが登壇者の意見に耳を傾けた。吉田寮自治会は、吉田寮第一審判決と東大学費値上げ問題など学ぶ権利と大学自治に関わる諸問題への理解を深めるために企画したという。シンポジウムを通し、実際に登壇者の話に多くの示唆を受けたと総括した。(史)

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