「ガリレオ・ガリレイと現代 世界天文年にちなんで 春秋・月曜講義(2009.11.01)

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京大では毎年、春と秋に春秋講義という一連の講演会を開き、学内外に広く大学の「知」を提供している。今年は国際連合などが定めた「世界天文年」であることから、10月5日、19日、26日の各月曜日の講演(月曜講義)は「ガリレオ・ガリレイと現代-世界天文年にちなんで」というテーマで開催された。 今号では10月19日、26日に行われた講演会について取り上げる(10月5日分については10月16日号に掲載しました)。

ちょうど400年前の1609年12月初めごろに科学者ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)が望遠鏡による天文観測を始め、後に宇宙観の変革・天文学の革命を引き起こした。このことから今年は「世界天文年」と定められ、各地でさまざまなイベントが開催されている。

10月19日に行われた春秋講義は「ガリレオの天文観測―望遠鏡による新しい宇宙の発見」の題で行われた。講師は伊藤和行・文学研教授。西欧近代科学史が研究分野。今回、伊藤教授はガリレオの著作や書簡から観測方法や結果、その歴史的意義を紹介。さらに、生い立ちから太陽黒点の報告(1613年)までの人生をたどり、ガリレオの真の姿に迫った。

まず伊藤教授はガリレオが後世に及ぼした影響について述べた。それまで裸眼だった天体の観測にガリレオが望遠鏡を持ち込んだことが実験に器械装置を用いることの始まりで、天動説から地球が太陽のまわりを回っているという地動説へ導くきっかけや、ニュートンの万有引力の発見につながる宇宙像をつくったという。

つづいて伊藤教授はこのガリレオの望遠鏡について、ガリレオの出版した『星界の報告』(1610年)に書いてあることを紹介したり、同時代に活躍した天文学者ヨハネス・ケプラー(1571~1630)の望遠鏡と比較などして説明。もともと望遠鏡はガリレオが発明したのではなく、オランダの眼鏡職人の発明したもので、その望遠鏡の話をガリレオが聞きつけ、高性能・高倍率に自作・改良したのである。伊藤教授は、近代幾何光学の祖であって自式の望遠鏡を考案したものの、その制作ができなかったケプラーを「理論家」といい、対してガリレオは望遠鏡のレンズを自分で磨き、よいレンズの組合せを選び、当時他に誰も制作できない望遠鏡を作ったとして「数理工学者」と呼ぶべきとした。

また月のクレーター(くぼみ)、木星の4衛星、金星の満ち欠け、太陽黒点(しみ)など、ガリレオの発見についてスケッチや具体的な数値などを用いて紹介するとともに、ガリレオが「宮廷知識人」としての側面があったことを伊藤教授は述べた。同時期に望遠鏡で天体観測をする他の学者と争い、発見の先取権を急いで確保したり、トスカナ大公国から支援・保護してもらおうと望遠鏡を贈って検証してもらったり、木星の衛星に大公の名を命名するなどをしたという。このようにしてガリレオは自式の望遠鏡で発見可能なものを1612年までに素早く見つけてしまい、ガリレオの望遠鏡がのちに実現したケプラー型の望遠鏡にとって代わられるまで、天文学の新発見は無かったとも。

最後に伊藤教授は、ガリレオが実際に手を動かしてやること(技術)と頭の中でやること(学問)がうまく結びついて望遠鏡を使った新しい天体観測に至ったとしめくくり、加えて天文学の技術がはるか遠く、江戸時代初期の日本にも伝わったことを紹介した。

10月26日の春秋講義では、長田哲也・理学研教授(宇宙物理学)が「天体望遠鏡400年の歴史」と題し講演を行った。ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)、ジョン・ハーシェル(1792~1871)、エドウィン・ハッブル(1889~1953)など多くの天文学者の業績をとりあげて幅広く天体望遠鏡の発展史を語り、さらに20世紀後半の観測装置の発達や1990年代以降の進歩によって宇宙についてのイメージがどうなったのかを述べた。

長田教授は天体望遠鏡の歴史について、科学史の本『宇宙創世』(著:サイモン・シン 新潮文庫)に沿って展開。望遠鏡による天体観測に重要なものとして、どこまで暗く光る星まで見られるのかという「明るさ・暗さ」の要素、星の位置を特定するための「細かさ・角度」という要素、星によって見える色が異なるという「波長」の要素を挙げ、その観点から各時代の望遠鏡に対して光学的な解説をした。加えて、望遠鏡に入ってくる光やその色の修正についてや、他の星との距離の測り方、光の波長からその星の物質成分をどのように調べるかなども説明した。

また最新の宇宙イメージに関して、電磁波、赤外線、X線といった様々な波長の光の観測から得られていることを述べた。光の波長が違うと見えてくる要素が異なるという。1990年代以降、「ハッブル宇宙望遠鏡」など宇宙空間からの観測が始められ、アメリカ・ハワイにある「すばる望遠鏡」や「ケック望遠鏡」などが活躍していることを紹介し、赤外線望遠鏡が銀河系の中心に超巨大ブラックホールを観測したことや、京大が岡山に建設しようとしている新型望遠鏡についても言及。長田教授は、宇宙での観測と地上での観測は相補的でなくてはいけないと主張した。

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