文化

ゴリラと歩んだ研究者人生 山極壽一前総長 最終講義

2020.10.16

9月25日、9月で退職となった山極壽一前総長の退職祝賀シンポジウムがオンラインで開催され、その中で山極氏の最終講義が行われた。「サルやゴリラと眺めた人類の進化」と題し、自身の研究者人生を振り返った。

最終講義は、山極氏が学部生のときの話から始まり、ルワンダ、コンゴ民主共和国、ガボンなどのアフリカ各地において野生ゴリラの研究を行ってきたことを説明した。山極氏は、自身の研究の重要なテーマとして「変異」を挙げた。ゴリラやニホンザルの地域間変異や、社会の長期的な変動について、研究してきたという。

学生へのアドバイスとして、「発見したことをとにかく論文にする」ことや、「英語圏の研究者をライバル、友人にする」ことを挙げた。自身が論文を書くときには素案を英語圏の研究者の友人に送って、校閲してもらったというエピソードを話した。

最近興味を持っている事項として、人類の社会性の進化を挙げた。自身の今後のことについては未定であるとし、これから考えようと思っていると述べた。山極氏は最後に、「お世話になったすべての人を挙げることはできないが、せめてゴリラたちに感謝を捧げたい」と述べて講義を締めくくった。

山極氏は、野生ゴリラの研究を専門とする霊長類学者である。京大理学部を卒業し、日本モンキーセンター研究員、霊長類研究所助手などを経て、2002年から京大理学部教授に着任。2014年より第26代京大総長を務めた。山極氏の最終講義を含む退職祝賀シンポジウムは、アーカイブがYouTubeで公開されており、理学研究科生物科学専攻人類進化論研究室のホームページから閲覧できる。(凜)

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