人の心から共生を考える 京都こころ会議国際シンポジウム(2017.10.01)

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百周年時計台記念館で9月18日、第1回京都こころ会議国際シンポジウム「こころと共生」が開かれた。京都こころ会議が開くシンポジウムとしては3回目となった今回は、初めて海外からもゲストを招き、4人のゲストが日英同時通訳のもとでこころや共生に関するテーマについて講演した。

韩世辉・北京大学教授は、人が持つ共感のメカニズムについて触れ、認知科学的に自分と同じ人種に対してより共感しやすい傾向があるという内集団バイアスが見られることを紹介した。その上で、留学経験や対象への配慮によって内集団バイアスが軽減できるというデータを示し、社会を変えることで人類の共生を妨げる内集団バイアスを将来的になくすことが出来る可能性を示唆した。

ジョセフ・キャンブレイ・パシフィカ大学院大学学長は、ユング心理学の視点から心について語った。人の心の動きは単純に因果関係が分かるものではなく、相互作用によって互いに影響を与え合う複雑系の一種だという。同時に関連性のある出来事が起こる共時性によってカウンセリングが円滑化された事例をあげ、状況の共有によって共感が生まれたことがその理由になったと述べた。

宗教学者で自身も住職を務める釈徹宗氏は、宗教の共生という視点から講演した。まず、信仰の共生を可能にする考え方として、それぞれの宗教を並列のものとみなす多元主義を取り上げた。ついで、宗教者同士がお互いに思想や内面の違いを認めながら対話する宗教間対話という試みを紹介し、その現状と問題点を提起した。さらに、宗教には時に社会の枠からはみ出しうる性質があるとしたうえで、ほとんどの宗教には絶対視による暴走を止める防御装置が組み込まれており、反社会的行動をとるのはむしろ教義と誠実に向き合ったことのない者が多いと述べた。

広井良典・心の未来研究センター教授は、共生には集団内に対立を生み出しうるというパラドクスがあり、生物は歴史の中で共生と個体化を繰り返してきたのだと図を交えて説明した。人類はその登場以来、拡大期と定常期を繰り返してきており、資源の限界で拡大が不可能になった時期に精神面を大きく発達させてきたと主張した。

京都こころ会議は、2015年に発足した試みで、稲盛財団の支援を受けている。日本語の「心」という語に含まれるニュアンスを大切にしながら、人間の「心」そのものを究明しようとしている。(鹿)

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