災害と文明シンポジウム2 「火山列島の災害と文化」(2015.07.01)

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火山・地震と向き合いながら生きる


6月14日、比較文明学会による「災害と文明シンポジウム2~火山列島の災害と文化」が開催された。

はじめに人間・環境学研究科教授の鎌田浩毅氏(火山学)が、今後予想される南海トラフ巨大地震と富士山の噴火を中心に基調講演をした。

マグマをイメージしたという赤色のシャツで登場した鎌田氏は、まず「過去は未来を解く鍵」という方法論が科学でも重要だと述べ、地質学的知識を未来の予測に利用していくことの意義を説いた。

続いて話題は、富士山の噴火の予測へと移った。富士山はかつて50年に1度噴火していた時期もあり、いつ噴火してもおかしくない。前回の噴火は300年前であり、現在はマグマが地下にたまっている状態なのだという。休止期が長いほど次の噴火が大きくなることが経験的に分かっており、今後予測される噴火では大量の火山噴出物が発生し、被害が大きくなると述べた。

また、日本列島は東日本大震災後に「大地動乱の時代」に入ったと述べ、南海トラフ巨大地震が2030年代に起こると予測。この地震は、東海・東南海・南海の3つの地域で連動して起き、東日本大震災の10倍以上の被害をもたらすおそれがあると警鐘を鳴らした。さらに、江戸時代に宝永地震と呼ばれる巨大地震が起こったのち富士山が大噴火した事例を挙げ、南海トラフ巨大地震の影響で富士山が噴火したり、山が崩れ落ちたりする可能性もあると指摘。また、阿蘇山などの九州の火山で巨大噴火が起きると、偏西風によって火山灰が京都で50センチ、北海道でも10センチ積もり、被害が甚大になるおそれがあると述べた。

最後に、「いい加減は良い加減」が京大のモットーだという自身の京大論を展開。地球科学も数学や物理学ほど厳密な学問ではなく、6割正しければよいアバウトな学問だとしたうえで、その「いい加減」さは災害列島日本に生きる知恵だと説いて講演を締めくくった。

続いてパネルディスカッション「火山列島の災害と文化と文明」が行われた。ここでは火山・地震の災害をどう受け入れていくかが話題になった。

至誠館大学学長の原田憲一氏(地球科学)は、アメリカのセントへレンズ火山の噴火の体験をもとに、火山噴火による被害や恵みと今後の課題を述べた。原田氏は、噴火により降灰等の被害を受けた一方で、小麦が豊作になるという恵みもあったと語り、「巨大噴火が来ると非常に大きなダメージを受けることになるが、生き延びさえすれば次のフェイズに入り何とか生きていける」と火山噴火の前向きな受け入れ方を提示した。

東海大学教授の横川玲子氏(中南米研究)は、16世紀ごろまでメキシコ中央高原で栄えたアステカ文明に語り継がれていた神話を紹介。「アステカの人々は、災害が発生することを当たり前とみなしていた。災害に対してどう考えていけばよいかが神話から読み取れる。それは現代にも何らかのヒントを与えてくれるのではないか」と語った。

吹田市立博物館長の中牧弘允氏(宗教人類学)は、1783年の浅間山の大噴火によって、一瞬のうちに土砂が10㍍堆積した鎌原村の事例を取り上げた。「過去の事例を踏まえつつ、社会学、人類学、自然科学をはじめとするありとあらゆる分野から災害について考える必要があるのでは」と述べた。

東海大学教授の松本亮三氏(文化人類学)は、観光によって火山災害について学習することができると説明。1990年から95年にかけて長崎県の雲仙岳で発生した土石流で倒壊した家屋を保存している道の駅などを紹介したうえで、「火山による災害の多い日本では、火山観光が防災・減災に重要な役割を果たす」と強調した。(小・北)

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