健康食品、知識もった利用を 第12回 食と農の安全・倫理シンポジウム(2014.03.16)

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3月1日、農学部総合館で「食と農の安全・倫理シンポジウム 健康食品を考える」が開催された。本シンポジウムは京都大学農学部生物資源経済学科卒業生の永井幸喜氏、及び食と農に関わる多数の企業の寄付によって2007年に設立されたもので、寄附講座という形をとっている。また、文部科学省の科学研究費補助金を受けて進められている研究成果を一般の人に発表する場となっている。一年に1、2回の頻度で開かれており、今回が12回目の開催となる。

はじめに、新山陽子氏(農学研究科教授)から開会挨拶があり、その後、梅垣敬三氏(独立行政法人 国立健康・栄養研究所情報センター長)、鬼頭弥生氏(農学研究科特定助教)、工藤春代氏(農学研究科特定准教授)の3名によって講演及び研究報告が行われた。報告の後、参加者と前述の4名との質疑応答という形式でディスカッションが交わされた。

梅垣氏は、「健康食品の実態と利用を考える」と題して講演を行った。初めに、梅垣氏は健康食品の基本的な説明を行い、健康食品にはいくつかの種類があり、ひとくくりにはできないと概括した。健康食品とは、特定保健用食品と栄養機能食品を合わせた保健機能食品、及び一般の食品のうち健康的とみなされている食品の3種類と定義されている。一般の食品は効果や機能の表示が許可されていない。一方、特定保健用食品は効果や機能の表示ができるが、栄養機能食品は栄養成分の機能表示のみ許されている。次に、健康食品のうち特に錠剤・カプセル・粉末状の健康食品に着目し、通常の食品と対比した上で問題点を指摘した。通常の食品では、味覚や食感があるため食後の満足感が得られる。一方、前述の健康食品は、そのような機能を持たないため、過剰摂取に陥りやすいと言及した。最後に、梅垣氏は健康食品の持つ効果は付属的なものであり、健康食品を摂取するだけで健康になることができると認識するのは間違いであると注意した上で、食事や運動など基本的な生活習慣の改善が健康の維持・増進にとって一番効果的・効率的であり、そのような生活習慣の改善につなげる目的で健康食品を利用してほしいと述べた。

続いて鬼頭氏と工藤氏は、健康食品は機能性・効果がクローズアップされる一方、リスクが強調されることは少ないという現状認識から、消費者による健康食品のリスク認知についての研究報告を行った。鬼頭氏は研究の中で、インターネットを通じたアンケート調査を行った。この調査では、健康食品を利用している人と利用していない人を対象として、健康食品のリスクをどれくらい強く感じているか、及びリスクを感じる要因についてそれぞれ評価してもらった。また、初めの被験者に対して健康食品の正しい情報提供を行った後に、同様の評価を行ってもらった。その結果、知識よりもイメージによってリスクを感じていること、情報提供を行うと調査前に抱いていた健康食品に対する効果や危険性などの思い込みを補強する可能性が高いという問題点が明らかになったと述べた。

工藤氏は、消費者と専門家との密なコミュニケーションを通じて、消費者のリスク認知及びその変化を調査した。具体的には、消費者同士で健康食品に関するディスカッションを行ってもらい、そこから生じた疑問点について専門家から回答をもらった。その結果、消費者の健康食品への理解が深まり、効果だけでなくリスクをも冷静にとらえられるようになったという。ただし、消費者が情報提供によって影響を受けやすいという傾向も見えた。そのため、工藤氏は調査後に、消費者が自立して正しい選択を下せるように指針を提供する必要を感じ、「フローチャート」を作成し一般の人に公表した。

ディスカッションでは、多くの参加者から質問が寄せられた。「健康食品をどのように利用していけばよいか」との質問に対して、工藤氏は、健康食品を利用している人は健康意識が高く、普段の生活習慣にも配慮しているため健康食品は必要ない。また、著しく損なわれた健康状態では医薬品を利用すべきとして、健康食品の利用に否定的な見解を与えた。閉会の辞に当たり、新山氏は、これからも健康食品に関する正しい情報提供を行っていくことに意欲を示し、シンポジウムを締めくくった。(千)

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