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授業料 京大 依然「議論していない」 東大は値上げ決定

2024.10.01

京大は10月1日、授業料の値上げに関する本紙の取材に「特段の議論は行なっていない」と回答した。京大は5月の取材時も同様に回答しており、値上げへの慎重な姿勢の維持が明らかになった。一方、東大は9月24日、学部課程と法科大学院を除く修士課程の年間授業料を10万円強値上げすると発表。増収分で「教育学修環境を持続的に改善する基盤」の構築を目指す。

東大の学部と修士の年間授業料は、2024年度時点で文部科学省が定める標準額の53万5800円である。これを64万2960円に値上げする。大学の判断で標準額の2割まで増額可能だとする文部科学省令を最大限適用した形だ。学部は25年度の入学者から値上げする。現在の学部生が現行の授業料のまま卒業できるよう、修士は29年度の入学者から値上げする。博士課程の授業料に関しては、「卓越した研究者の養成が東京大学の使命である」などの観点から値上げしない。

さらに、授業料値上げと同時期に学生支援を拡充させるとも発表。授業料全額免除の対象となる日本人学生の世帯収入について、基準を400万円以下から600万円以下に引き上げる。600万円という額に関して、東大は「年収600万円未満の夫婦と子供からなる世帯が、おおよそ3割であることなどを考慮」したものだと説明した。

東大は今年5月に授業料の値上げを検討中だと発表して以降、総長と学生との対話やアンケートを実施してきた。本紙の取材に対して東大は、その内容を博士課程の授業料の値上げ撤回や、学生支援の拡大に反映させることで「さまざまな意見・質問にも真摯に対応してきた」という。

値上げに反対してきた東京大学教養学部学生自治会は、9月29日に今回の値上げ確定に対して声明を発表。「学生の総意が無視された」うえ、学生支援策は具体的な制度案を欠くとして「強い言葉をもって抗議する」とした。今後、授業料値上げ撤回の実現に向け「長期的な視野で活動していく」という。

なお、5月に東大と同じく値上げに言及した広島大と熊本大は、10月4日時点でいずれも来年度は値上げしないと明言している。

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