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琉球遺骨 対話要請に「検討中」 京大 原告敗訴の判決強調

2024.09.16

京都帝国大学の研究者が戦前に沖縄県内の墓から持ち出した遺骨の返還を京大が拒んでいる件で、京大は8月30日、遺骨の返還を求める訴訟の原告らが要請した対話の場の設置など3点について一律に、「現在検討中のため、回答は控えさせていただきます」と文書で返答した。そのうえで、昨年9月の原告敗訴の判決を示し、原告らに「本件遺骨の返還請求権は無いと判断され、同判決は確定していることはご承知のとおりです」と述べた。

要請書は、遺骨の返還を求める訴訟の原告らが7月、京大の担当者に直接手渡したもので、▼話し合いの場の設置▼遺骨の取り扱いの倫理指針の提示▼遺骨の返還と謝罪の3点について9月2日までの回答を求めていた。

京大が「検討中」と答えたことを受けて原告らは、双方の検討状況を交換する機会を設けるよう9月6日付の文書で再度要請した。実務的な連絡のためにメールなどの窓口を設けることも提案し、10月6日までの回答を求めた。また、京大が言及した判決について、判決内で関係者間の協議を進めるよう付言されていると指摘し、「『話合い』を推奨していることはご承知のとおり」と反論した。

原告団長の松島泰勝氏は本紙の取材に、「京大には、遺骨の当事者と会って説明する社会的責任があります。京大の教員、職員、学生は、京大当局が未だに遺骨の当事者と対話をしないことに関して考えて欲しい。議論して欲しい。2回目の要請書に対して京大が、『人のこころ』をもって対応してくださることを強く求めます」とコメントした。

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