文化

〈腹が減っては〉「意地」で続ける10個200円 鳥羽梅食料品店

2024.09.16

〈腹が減っては〉「意地」で続ける10個200円 鳥羽梅食料品店
薬学部キャンパスのほど近く、魚や野菜を売るお店に併設して、赤地に白く「たこ焼」と染め抜かれた暖簾がある。鳥羽梅食料品店。この地で80年以上続く、地域に根ざしたお店だ。(匡)

メニューはたこ焼きと焼きそば。最も印象的なのは、たこ焼き10個200円という価格だろう。「35年くらい、ずっとこのまま」と店主の河原久和さんは笑う。「儲からへんけど、なんとか続けたいって意地でやってるんやな」

板前を目指して専門学校に通い、割烹料理屋で修行していたが、腰を痛めて続けられなくなってしまった。行くあてもなく放浪していたところ、食料品店を営んでいた先代の父が「たこ焼き屋ができるように」とお店を改築。たこ焼き屋を開くことになった。

いつも同じ味を提供することにこだわる。京都のたこ焼きはキャベツを入れることが特徴的だそうで、出来立てのたこ焼きと少し酸味のあるソースが食欲をそそる。たこ焼きは10個からの注文だが、あっという間にいただいてしまった。

これまでは近所の人に愛されるお店だったが、1年ほど前にYouTubeで「京都一安いたこ焼き屋」と紹介されて以来、遠方からの来客も増えた。「先日は三重からお越しになった方も」とはにかむ。

食べてくれた人がもう1度来てくれたときが嬉しい。美味しくなかったら2回目は来てくれないからね。そう河原さんが話していたとき、言葉を裏付けるかのように顔なじみの学生が訪ねてきた。16個を注文し、「手軽にたくさん食べられる」と話す学生に、河原さんは目を細めていた。

営業時間は正午から19時まで。月曜日・祝日定休。

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