「親しい顔」認識の仕組み解明 神経・精神疾患の治療に期待
2024.07.01
京大ヒト行動進化研究センターの網田英敏・特任准教授、筑波大の國松淳・助教らの研究グループは6月11日、親しい人の顔を学習する脳のメカニズムが、物に価値を与える脳のメカニズムと同じだと解明したと発表した。今後、神経・精神疾患の治療法開発に役立つことが期待される。
従来の研究では、物とその価値を結び付けるには、意思決定や運動制御に関わる大脳基底核、特に線条体尾部が役割を果たしていることが解明されていた。しかし、実験室とは異なる複雑な社会状況における、価値判断メカニズムの機能は分かっていなかったため、研究グループは、同メカニズムが長期間の社会的経験を報酬として符号化している可能性を検証した。
グループは、ヒトに類似した脳構造を持つアカゲザルを用いて実験を行った。実験では、1年以上にわたって日常的に世話をする「親しい」人の顔の画像と、見知らぬ「親しくない」人の顔の画像を用意し、加えて、報酬が多い「高価値の物体」の画像と、報酬が少ない「低価値の物体」の画像を用意した。サルが各々の画像を見ている時、電気信号の計測によって神経活動を記録し、線条体尾部での神経活動を調べた。その結果、顔の画像に反応する神経細胞の多くが、親しくない人の顔には反応が弱い一方、親しい人の顔には強い反応を示した。同様に、同じ神経細胞が「低価値の物体」には反応が弱い一方、「高価値の物体」に強い反応を示したため、「親しさ」の情報と価値判断の情報の両方を、同じ神経細胞が保持していることが分かった。また、「親しさ」判断の傾向と価値判断の傾向が正に相関することから、これらは脳内の同じメカニズムで処理されていると考えられるという。
グループは、本研究の知見を応用することで、社会的な絆の形成や維持といった社会相互作用のメカニズムの理解が深まると考えている。同時に、大脳基底核の疾患であるパーキンソン病や自閉症スペクトラム障がいへの理解や治療に役立つ可能性があるとしている。
研究成果は5月22日に「iScience」にオンライン掲載された。
従来の研究では、物とその価値を結び付けるには、意思決定や運動制御に関わる大脳基底核、特に線条体尾部が役割を果たしていることが解明されていた。しかし、実験室とは異なる複雑な社会状況における、価値判断メカニズムの機能は分かっていなかったため、研究グループは、同メカニズムが長期間の社会的経験を報酬として符号化している可能性を検証した。
グループは、ヒトに類似した脳構造を持つアカゲザルを用いて実験を行った。実験では、1年以上にわたって日常的に世話をする「親しい」人の顔の画像と、見知らぬ「親しくない」人の顔の画像を用意し、加えて、報酬が多い「高価値の物体」の画像と、報酬が少ない「低価値の物体」の画像を用意した。サルが各々の画像を見ている時、電気信号の計測によって神経活動を記録し、線条体尾部での神経活動を調べた。その結果、顔の画像に反応する神経細胞の多くが、親しくない人の顔には反応が弱い一方、親しい人の顔には強い反応を示した。同様に、同じ神経細胞が「低価値の物体」には反応が弱い一方、「高価値の物体」に強い反応を示したため、「親しさ」の情報と価値判断の情報の両方を、同じ神経細胞が保持していることが分かった。また、「親しさ」判断の傾向と価値判断の傾向が正に相関することから、これらは脳内の同じメカニズムで処理されていると考えられるという。
グループは、本研究の知見を応用することで、社会的な絆の形成や維持といった社会相互作用のメカニズムの理解が深まると考えている。同時に、大脳基底核の疾患であるパーキンソン病や自閉症スペクトラム障がいへの理解や治療に役立つ可能性があるとしている。
研究成果は5月22日に「iScience」にオンライン掲載された。
