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薬学研 そうか病 抗菌物質を発見 「革新的」農薬開発に期待

2024.04.01

薬学研 そうか病 抗菌物質を発見 「革新的」農薬開発に期待

そうか病を発症したジャガイモ

掛谷秀昭・京大薬学研究科教授、金子賢介・同特定研究員(当時)、三枝毬花 同修士課程学生(当時)らの研究グループは3月25日、ある微生物の代謝産物が、植物病害「そうか病」を引き起こす原因菌の増殖を抑えることを明らかにした。そうか病を標的とする農薬の開発に繋がることが期待される。

そうか病は、細菌の一種「ストレプトマイセス属菌」に分類されるStreptomyces scabiei によって主に引き起こされる植物病害。主にジャガイモなど根菜類の塊根で発症し、かさぶた状の病斑の形成を伴う。発症すると見栄えが悪くなるため商品価値が下がり、経済的損失をもたらす。これまで種芋の消毒や土壌pHの調整などさまざまな対応策が用いられてきたが、そうか病を完全に防止することはできていなかった。

研究グループは過去の研究において、さまざまな微生物代謝産物から有用なものを探索する中で、ある細菌が持つTumCという物質が、ストレプトマイセス属菌の増殖を抑えることを発見していた。

今回の研究でグループは、TumCがそうか病原因菌S. scabiei の増殖を抑えることを実証した上で、そのしくみを解析した。まず、TumCはS. scabiei の細胞壁構成成分である壁テイコ酸(WTA)に結合することがわかった。次に、TumCに耐性を持つS. scabiei の株を複数作成し、その塩基配列を解析することで耐性化に伴って変異した遺伝子を探索した。その結果、そうか病の原因となる毒素の合成に関与する遺伝子が、解析したすべての株で変異しており、毒素の産生量が低下していた。さらに、耐性株では野生株に比べてWTAの産生量と組成が変化していた。これらの結果から、▼TumCはS. scabiei の持つWTAを標的として抗菌作用を示すこと▼TumCに耐性を持つS. scabiei の株では毒素合成に関与する遺伝子の変異によって病原性が低下していたこと▼耐性株はWTAの産生量と組成を変化させることでTumCに対する耐性を獲得したことが明らかになった。

植物病害を防ぐ目的で農薬を使用する際、原因生物が病原性を保ったまま耐性を獲得することが最大のリスクのひとつとなっている。しかし、TumCに耐性を持つ原因菌は病原性が低下することから、TumCを利用した農薬はこのリスクを回避できると考えられる。

グループは研究成果について、「世界中で甚大な被害をもたらすそうか病の効果的な農薬開発について、日本がイニシアチブを発揮できるものと期待される」としている。

研究成果は、3月25日に国際学術誌「The Journal of Antibiotics」のオンライン版に掲載された。

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