文化

【新連載】〈腹が減っては〉温かくアナログな場所 喫茶店 クラークハウス

2024.03.16

【新連載】〈腹が減っては〉温かくアナログな場所 喫茶店 クラークハウス

自慢のコーヒーと紅茶。カップには屋号が光る

京大の近くに軒を連ねる、個性豊かな飲食店にお話を伺う連載を始める。単調になりがちな大学生活の食事だけれど、明日の食事に選択肢が一つ増えれば。そんなことを考えながら、この地で店を営む思いを聞いた。(匡)

正門を出て、東一条通を西へ300歩。大きく開放的な窓と、緑色の幌に飾られた温かな店がある。3月18日に創業40年を迎える喫茶店「クラークハウス」だ。

店主の中澤信行さんは82歳。2人の娘と店を営む。両親のうどん屋を継ぎ、学生だけでなく地域の皆さんに愛されるお店を、と一念発起し開店した。店名の由来は、両親が経営していた北海道の牛乳を販売する店。「北海道といえば」と、北海道開拓の父、クラーク博士の名を取った。

サンドイッチやホットサンドなど、喫茶店らしいメニューが並ぶ中、ランチメニューには肉じゃがやコロッケなど、和食が名を連ねる。そんな中で、一押しはコーヒーと紅茶。「こだわりすぎないことがこだわり。喫茶店なので、思い思いに過ごしていただいて、お好きな食べものやお菓子でくつろいでほしい」と話す、長女の森脇美佐さん。「深い思索や、思いを語り合うための時間と空間を提供することが務めです」。

中澤さんは「昔は今以上にサークル活動が盛んで、京大生が貸切にするなど売上に貢献してくれていた。いつの間にかサークル活動は下火になって、そういうお客さんが減ってしまった。喫茶店が苦戦している時代だ」として「集まらなくてもコミュニケーションが取れるデジタルの時代に、アナログな場所を提供して生き残っていきたい」と話してくれた。

「うまくいかないときは立ち止まったり、回り道をしながら、自分の目指す道を進んでほしい」と若者の背中を押す喫茶店「クラークハウス」。営業時間は7時30分から18時30分まで。日曜・祝日休業。