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教育学研 腸内細菌と感情制御が関連 幼児257人の調査で判明

2023.10.01

京大教育学研究科の明和政子教授らの研究グループは9月6日、幼児期の感情制御に腸内細菌や食習慣が関連していることを発表した。

感情制御は幼児期に急速に発達し、早期の段階における感情制御の発達は、成人期の心身の健康と密接に関わる。成人を対象とした研究では、腸内細菌が精神疾患や認知機能に関連すると考えられている。こうした成人期の腸内環境は、基盤が3歳から5歳頃に確立すると考えられており、感情制御が発達する時期と重複する。以上のことを踏まえると、腸内細菌が感情制御に影響する可能性があることが示唆される。さらに、腸内細菌は食習慣と密接に関わることも言われている。ゆえに、食習慣も間接的に感情制御に影響を与える因子になると考えられる。こうした背景のもと、研究グループは、腸内細菌や食習慣が感情制御との関連を調査した。

本研究では、実行機能の発達及び食習慣に関するアンケートを、全国の保育園・幼稚園・子ども園に通う3歳から4歳の日本人幼児257人の母親に依頼した。また、幼児の糞便の採取と解析を行い、腸内細菌の多様性を算出した。すると、幼児期において感情制御が困難であるのは、腸内細菌のうち、炎症との関連が高い細菌が腸内により多く見られることが一因であると分かった。さらに、アンケートから「感情制御が困難」とされた子供ほど緑黄色野菜の摂取頻度が低く、偏食である割合が高かった。以上からグループは、幼児期の食生活が子供の感情制御に影響を与えていると結論づけた。

以上のように、腸内細菌や食習慣は感情制御と密接に関連していることが示唆された。今後、個々の生体データを用いた「個別型」の認知発達支援法の開発が期待される。本研究は2023年9月6日にスイスの国際学術誌「Microorganisms」にオンライン掲載された。

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