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ブッダと「自然な」対話を実現 新型仏教対話AI チャットGPT応用で

2023.08.01

京大人と社会の未来研究院の熊谷誠慈准教授と株式会社テラバースの古屋俊和CEOは7月18日、生成系AIのチャットGPT4を応用したチャットボット「ブッダボットプラス」を共同開発したことを明らかにした。

「ブッダボットプラス」は、仏教経典の学習データをもとに、ユーザーの様々な悩みに宗教的観点から回答する対話型AI。熊谷准教授と古屋CEOは2021年3月に「ブッダボット」を公表していたが、回答が質問からずれることが多かったほか、回答が仏典の内容そのままで簡潔すぎるといった課題があった。それらの問題点を解決するため、旧型のブッダボットとOpenAI社のチャットGPT4を融合した新型の「ブッダボットプラス」を開発した。

ブッダボットプラスでは、仏教経典の文言を回答したうえで、チャットGPTの大規模言語データベースに基づいてその解釈や追加の説明文が生成できるようになった。典拠は仏教学者が精査し、信頼性も向上したという。

熊谷准教授は記者会見でブッダボットプラスを実演した。「上司との関係に悩んでいます」という質問に対し、ブッダボットプラスは「学識や知恵を得るためには、言葉と心と行いのすばらしさ、心の平安と融和、そして思慮深さが必要だ」とする経典の文言を提示。さらに、それが「上司と良い関係を築くためにはコミュニケーションスキルや寛大な心、適切な行動が必要」で、「心の平和と柔軟さ、深い思考も大切だ」という意味だとする説明を出力した。

熊谷准教授は会見で、ブータン王国など他国の仏教界から共同開発の打診があることを明らかにした。実用化はまだ未定だが、熊谷准教授は生成系AIを始めとした「新たな技術を通じて、宗教の意義や役割についての議論や再検討が期待される」と指摘したうえで、「躍動感のある楽しい社会の実現を目指す」と意気込みを示した。

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