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地殻変動解析で原因を示唆 防災研など 能登の群発地震

2023.06.16

京大防災研究所の西村卓也教授ら研究チームは12日、能登半島北東部で2020年12月から観測されている群発地震について、地殻変動解析による分析結果を発表した。

国土地理院は、人工衛星を利用して測位を行うGNSS観測点(電子基準点)を全国1300か所に設置している。当該の地震活動に伴い、震源付近の電子基準点では従来と異なる地殻変動の傾向が観測されていた。ただ、震源付近には基準点が少なく、変動の全体像については明らかになっていなかった。

研究では、国土地理院の電子基準点に加え、ソフトバンク(株)が独自に設置する観測点と、京大と金沢大が地震活動の活発化後に設置した観測点のデータをもとに、能登半島北東部の地殻変動を調査した。その結果、20年11月~22年12月に、最大7㌢の隆起や、震源域を中心とする膨れ上がりを確認した。岩盤の動きなどを考慮して、水と考えられる高温高圧の流体が上昇して断層内で広がり、断層がゆっくりすべる「スロースリップ」という現象を誘発したと明らかになった。この現象は時間とともに、断層のより浅いところで群発地震を引き起こしたと考えられる。5月5日に観測されたM6・5の地震についても、同様の仕組みで発生した可能性があるという。

研究チームは発表のなかで、今後より詳細な推定を試みつつ、同研究でとった複数の観測点の統合分析を続け、地殻変動の現状把握に貢献していくとした。

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