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ジェンダーバランス是正へ声明 国立10大学の理学部長 共同で発表

2023.06.16

5月25日、京大を含む10の国立大学理学部長は全国的に理学部の女子学生比率が低いことを踏まえ、ジェンダーバランスの改善に向けた共同声明を発表した。発表に併せて、理学の魅力を伝えるウェブサイトを新たに立ち上げた。

声明では、現在の理学部が人材育成の場として多様性のある環境を提供できていないと指摘した上で▼属性にかかわらず研究に取り組める環境を整備すること▼理学部での大学生活やキャリアパスの情報提供を充実させることを宣言した。 今回声明発表を行ったのは10大学理学部長会議に参加している北海道大、東北大、筑波大、東京大、東京工業大、名古屋大、京大、大阪大、広島大、九州大の各理学部長。

声明発表の経緯について、東大理学系研究科は本紙の取材に対し「これまで10大学理学部長会議で学部内のジェンダーバランスが課題として指摘されており、各大学が様々な取り組みを行ってきたが、この10年間で大きな変化はなかった」と説明。今後さらに取り組みを加速するため、「東大が10大学で連携することを提案した」と答えた。

京大理学部は取材に対し、ジェンダーバランス是正のための取り組み例として女性に限定した公募を挙げた。昨年度は物理学・宇宙物理学専攻において教授または准教授を女性限定で募集するなど、女性に限定した教員募集を複数行っている。今後の対応について「学部内の意見を集約し、対応していく予定だ」と答えた。

10大学理学部長会議は1952年から始まり、大学間で共通する課題などについて意見交換を行っている。東大理学研究科は、理学部のジェンダーバランス是正に向けて「必要に応じて他の大学との連携も検討していく」とした。声明発表に合わせて、学生や保護者に理学の魅力を伝える「理学ナビ」を10大学が共同で開設した。当サイトでは、在学生のキャンパスライフや多様なキャリアパスを紹介する予定だという。

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