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新種のテッポウエビ類を発見 フィールド研助教ら

2023.06.01

新種のテッポウエビ類を発見 フィールド研助教ら

「ワカサムラサキエビ Athanas exilis」 (=京大提供・邉見由美撮影)

千葉県立中央博物館・駒井智幸動物学研究科長と、京大フィールド科学教育研究センター・邉見由美助教との共同研究グループは5月11日、京都府与謝郡伊根町沖の海底で新種のテッポウエビ類を発見し、「ワカサムラサキエビ Athanas exilis」と命名したことを発表した。研究チームは今後の研究により、日本海エビ類の生物相の解明や、エビ類多様化のプロセスについて知見が得られることが期待されるとしている。

研究グループは京大舞鶴水産実験所の研究船を使用し、若狭湾の水深90㍍地点にて採泥した泥の中から当該テッポウエビを発見した。当該種は全長10㍉程度の小型種で、触角や尾節の形状の特徴と合わせ、ミトコンドリアDNAの部分配列を識別することで新種であると判断した。学名には第3〜第5胸脚の指節が細長いことから「exilis」(ラテン語で「細長い」を意味する)を使い、和名は採集場所の若狭湾から「ワカサムラサキエビ」とした。現時点で、ワカサムラサキエビは抱卵メス一個体しか採集されておらず、個体数の少ないことが示唆されるとしている。

この新種の分布などは不明で、今後はオスを含むさらに多くの個体を採集することを目指すという。また研究チームは、昨年舞鶴沖で甲殻類の新種「ワカサスナモグリ」が見つかったことも合わせ、日本海にエビ類の未知なる生物多様性がある可能性を指摘した。この成果は、5月2日にニュージーランドの国際学術誌「Zootaxa」にオンライン掲載された。

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