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【特集】京大の女子学生とジェンダーバランス

2023.05.16

2022年の京大学部生に占める女子率はおよそ22%。学生が5人いると1人が女子という計算だ。とても珍しいわけではない、でもときに少数派であることを意識せざるをえない――京大の女子をめぐる現況を表すならそんなところだろうか。一方で、京大を含む多くの大学が男女数の不均衡を是正しようと、より直接的な施策を打ち出している。京大の女子学生をめぐる状況に迫る。(編集部)

目次

データで見る 京大のジェンダーバランス
女子高等教育の黎明期 ―京大新聞に見る女子京大生―
京大女子学生アンケート


データで見る 京大のジェンダーバランス


大学が男女共同参画に取り組む必要性に迫られる今日、各大学はさまざまなデータを発表している。まずはこれらのデータから、京大におけるジェンダーバランスの状況を整理しつつ、大学の施策を見ていこう。(田)

伸び悩む女子学生比率 理・工が顕著


京大で女子学生の「正規」入学が認められたのは1946年。それから半世紀の間、入学者に占める女子の割合は増加傾向を保ち、2000年代初頭には学部入学者の20%に達した。しかしその後の約20年、女子学生比率は長い「伸び止まり」に陥っている。22年度学部入学者における女子比率は22・3%だ。

男女共同参画担当の稲垣恭子(いながき・きょうこ)理事は、伸び止まりの「原因特定は困難」としたうえで、工・理など定員数が多く女子学生比率が低い学部において女子比率が伸びないことの影響を指摘する。

学部として女子率が最も高いのは教育学部で49・0%、最低は理学部で8・6%だ。キャリアを通して見てみると、学部(21・9%)、修士(26・5%)、博士(31・9%)と女子学生率が上昇するものの、教員では12%にまで落ち込む。


「女子中高生への働きかけ必要」


京大は、女子学生比率の数値目標を示していないものの、「男女共同参画アクションプラン(2022〜2027)」では女子率の向上が「ジェンダーバランスの改善に加えて、将来の女性教員候補者の育成という意味でも重要」と意義づける。

女子率の伸び止まり打開を狙う京大はいま何をすべきか。稲垣理事によれば、女子の入学志願者を増やすことが重要だという。「女子中高生に対して、京都大学の魅力やSTEM領域(科学・技術・工学・数学の総称)での研究・教育、卒業後の進路やキャリアについて、積極的に働きかけていく必要がある」と理事は語る。男女共同参画推進センターは女子中高生に大学での学びや研究を紹介する試みを行っている。

一方で、中高生へのモチベーション付けは早晩に志願者増加へつながるものではない。他大学ではより直接的な施策によって女子入学者増加を図る。

【京大・東大・国立大学全体における女性比率と数値目標】(訂正後)


※紙面に掲載した表の一部(下線部分)に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

他大学の状況① 東大では「2割の壁」突破


たとえば、京大と同じく学生数の男女間不均衡の是正に奔走するのが東京大学だ。東大は2017年、自宅から通学できない女子入学者を対象に、大学近くの住居約100室を貸し出し家賃月3万円を補助する施策を始めた。22年、学部生の女子率が20・1%となり、創学以来初めて2割を超えた。23年度入試(学校推薦型含む)合格者に占める女子は22・7%で過去最高となった。

しかし、目標とする数値はまだまだ遠い。21年には「世界の公共性に奉仕する総合大学」としての方針「UTokyo Compass」を打ち出し、「誰もが安心して学び、働き、活動することのできる」キャンパスを実現するため、学生における女性比率 30%を目指すとしている。

他大学の状況② 東工大入試に「女子枠」


22年11月には、東京工業大学が24年度から総合型選抜および学校推薦型選抜において「女子枠」を導入することを発表した。段階的に枠を増やし、25年には一学年の定員の14%にあたる143枠が女性対象となる。発表に伴い学長は、学部女子率約13%の現状を打破し「理工系分野における女性研究者・技術者を増やす」との目的を説明したものの、賛否入り乱れる議論を招いた。

京大でも入試制度の一部に性別による制限が設けられた。22年12月には、25年度以降の法・経済学部の特色入試を変更することを発表。新しい制度では各校2名まで推薦できるが、「女子の受験機会を積極的に増やす」ため、各校が推薦できる男子の人数を1人までに制限する。

京大の一般入試で将来的に「女子枠」が導入される可能性はあるのだろうか――。本紙の取材に対し稲垣理事は、一般入試への「女子枠」やクオータ制の導入は「ジェンダーバランスの改善にとって有効な手段」としつつ、「​​可否を含めて慎重に検討していくべき」と回答した。

なお、京大は2016年に特色入試制度を導入し、「総合力と学ぶ力および高い志」を評価して志願者の選抜を行ってきた。以来、特色入試合格者における女子比率は32〜59%を推移。一般入試合格者の女子率は20〜22%であるのに比べると目立って高い。

同じような傾向は東大にも見られる。23年の学校型推薦型選抜(かつての推薦入試)合格者の女子率は39・8%で、一般入試より約17ポイント高かった。

*クオータ制:格差是正のためマイノリティに定数または定数比率のポストや議席を割り当てる措置。

教員比率にも大きな偏り


京大が数値目標を設定して取り組んでいるのが女性教員数の増加だ。教員に占める女性は12・3%と偏りが大きい。特に上位ポストほど女性比率が低く、女性教授が10人を超えたのは2000年のこと。現在も教授に占める女性の割合は8・8%(※注:紙面では8.7%と記載していました。お詫びして訂正いたします。)に留まる。大学は全学の女性教員比率(特定教員を含む)を27年度に20%とする目標を掲げている。

女子学生比率は京大より低い東大だが、教員全体の女性比率は16・7%と京大を上回る。また、27年までに女性教員比率25%を目指すほか、上位職(教授・准教授)の増加率を倍増させるといった「加速的」増加計画を打ち出している。

京大の女子学生増加・支援策


「女子高生・車座フォーラム」
女子高校生とその保護者を対象にした京大の学生・研究者との交流の場。2020年以降はオンライン開催。

「女子高生応援大使」
女子京大生が「応援大使」として出身高校にオンラインで訪問。京都大学の魅力や大学生としての生活、学習方法等におけるアドバイスなどを伝える。2022年度は17校で実施。

「女子学生チャレンジプロジェクト」
今年から開始。女子京大生をチームリーダーとする2名以上のグループに上限100万円を給付。5件程度を採用予定。女子学生がリーダーシップを発揮できる環境づくりを目指す。

ここのえ会
21年に設立された京都大学出身の女性による同窓会。

保育サービスの提供
保育園への入園待機乳児のための保育室、シッターが保育園まで子どもを迎えに行き大学で預かる「おむかえ保育」、看護師・保育士が常駐する病後児対象保育室など。いずれも学生と研究者が利用可能。

その他
・男女共同参画推進センターHPで女子京大生や女性研究者、女子卒業生のインタビューを公開。
・登録した女性研究者がメンターとして女性の学生・研究者の相談に応じる。

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女子高等教育の黎明期 ―京大新聞に見る女子京大生―


京都大学が創立したのは1897年。女子学生に本格的に門戸を開いたのはそれから半世紀経ってからのことである。政府が主導した制度面からの女子教育に関する研究は蓄積があるが、個別の大学における女子学生の実態に関する研究は、いまだ発展の余地がある。本稿では、京都大学に在学した女子学生の実相に注目する。主な史料は過去の京大新聞だ。彼女らは京大で何を考え、どのように生活していたのだろうか。(凡)


女子大学生の誕生


日本初の女子大学生は1913年、東北帝国大学で誕生した。志望者が定員に満たないため入学資格を拡大した結果、3名の女性が入学したのである。10年後に同志社大学にも女子2名が入学するなど、大学での女子学生受け入れは徐々に拡大した。

京都帝大では19年、特定の科目のみを受講する選科生として、医学部に2名の女性が入学したが、「正規学生」としての入学は戦後の教育改革を待たねばならない。42年時点で全国の女子学生数は約180名、全大学生のうちわずか0・22%だった。

大学での女子教育が本格的に始まるのは戦後である。その指針となったのは、45年12月に閣議諒解された「女子教育刷新要綱」である。男女間の「教育ノ機会均等」と「教育内容ノ平準化」を方針として、大学の共学制採用などを掲げた。これを受けた文部省は、46年2月に入学者選抜要綱を通達し受験資格を拡大。結果、全国で142名の女子が大学に合格した。

京都帝大では46年春、17名の女子学生(文12、法1、理2、農1、経済1)を含む1505名が入学。本紙はその年の入学式を「日本教学史に新しい時代を画する」と表現している。

就職、施設、尽きない悩み


本紙54年2月1日号には、後述する女子学生懇親会が実施した女子学生アンケートが掲載されている。たとえば京大を志望した理由については「漠然としたあこがれ」など抽象的なものが多い。進学に際した両親の反応としては、「本人の自由意志に任せる」などの理由で賛成を得た人が多数派だった。就職については、経済的自立のため必要だとして、「学問的知識が生かせる仕事」を「一生やり通す覚悟」だという意見が多い。

その他の記事に共通するのは、男子学生との学力差の実感である。夏休みのドイツ語の補修は「女子ばかり」だったという(48年5月24日号)。入学までの男子との学習内容に差があることから、「男の人に負けないか心配でたまりません」という声もあった(46年6月1日号)。最も多く登場するのは施設、特に寮の不備への不満で、下宿の同居者が男性であることなどを理由に女子寮の建設を求める声があがった(52年2月4日号)。

その寮建設に大きな役割を果たしたのが「女子学生懇親会」だった。51年に約30名の女子学生が結成し、女子寮の確保を求めて学生部と交渉を始めた。結果、54年3月に厚生課長個人の名義で橋本記念館を借り上げ女子学生の住まいとすることに成功した。しかし57年の紙面では収容人数88名で老朽化が進んでいると指摘があり、署名活動を続け59年に新しく女子寮が建設された。京大の事務局が発行する『学報』に入寮者募集の掲示があり、募集人員は19名、寄宿料は月100円と記載されている。

大学を越えて連携を目指す動きも見られる。53年には京大の楽友会館で「関西女子学生大会」が開催され、京大代表16名を含む計33校254名の女子学生が参加。各校が施設や就職の現状を共有した。

男子学生・教員の視線


大学で学ぶ女子学生を、他の学生や教員はどう受け止めたのだろうか。

女子学生入学前後に掲載された論稿のなかには、女子教育の質の向上を訴えるものが散見される。例えば「婦人参政権と女子教育」と題した社説(45年10月1日号)は、「男子に比して殊更に程度を下げる従来の教科内容を改め」、教育の面から男女同権の立場を作り出すべきだと訴えている。

一方、ある経済学部の学生は投書のなかで、女子学生は「民主日本の第一段階として試験的に」採られたことを自覚すべきだとし、男子学生に「劣らない」結果を出すまでは「つつましい態度こそ望ましい」と主張する(46年7月21日号)。47年7月の座談会の内容を論じた記事では、女子学生に「環境を自分で変えていこうとする意志」が「欠如」していると指摘。「封建的圧制に苦しむ日本の女性」を救うのは「諸姉において誰があろう」と主張している。京大の女子学生に対し、女子高等教育を拡充する使命を課す趣旨だ。女子寮建設運動についても、男子学生からは「君達のひとりよがりだ」と、職員からは「女子学生があまりヒステリックに騒ぐものだから認めざるをえなくなった」と言われる(53年10月5日号)など、男性からの協力を得るのは難しかったようだ。

60年代には、増加する女子学生に対する抵抗感から、就職の必要性に迫られる男子学生に女子学生が進学機会を譲るべきだとする「女子学生亡国論」が起こった。この論が京大でどう扱われたかは不明だが、73年には西洋史学科の女子学生が「不当な理由」で大学院入試を不合格とされた報じる記事がある。担当教官が当該学生に対して「試験の字が汚くて読めなかった」「君の性格じゃ無理」などと発言したうえ、両親のもとに「女性差別に満ちた手紙」を送ったという。この件に対し、学生たちは「支援の会」を立ち上げ教官への団交を繰り返した。68年以降の大学紛争が尾を引いていた状況を考えれば、大学と学生との対立が、女子学生に対する差別と結びついて表出した事例だとも言えるだろう。

四大卒女性の職なき時代 1970年代に在学した理学部卒業生の声


岡山県出身で、地元の公立高校へ進学。入学祝いにもらった参考書をきっかけに数学の面白さにのめり込み、京大の理学部に入学した。当時は名誉教授だった湯川秀樹の講演も行われた最盛期で、入試倍率は約5倍と高かった。

入学したのは、大学紛争の終わりごろ。ストで授業が中断することもあり、休講の際にはよく寺社見物にでかけた。百万遍の下宿には女子学生6人で暮らした。ピアノの練習をするため、音楽研究会とハイマート合唱団に所属。理学部は281人中女子は7人だけだったが、サークルに女子は多かった。物理学を専攻し、3回生からは勉強に力を注いだが、全国から志願者の集まる難関の院試には合格できなかった。

就活を始めたものの、4年制大学を卒業した女子に就職先はない時代。新聞広告の求人欄から約40社に電話をかけるも、女子の声と聞くや否や断られた。一方で男子学生は引く手数多だった。先輩の「かおる」さんは、男子と間違えた企業から大量のダイレクトメールを受け取った。

外資系の大手コンピュータ会社だけが説明会へ呼んでくれた。コンピュータは触ったこともなかったが足を運び、それが内定へとつながった。小型機部門で、全国から採用されたのは100人超。女子は4人だった。SEとしての採用だったが、泊まり込みでの研修で営業のイロハを叩き込まれた。働きながら早朝や深夜にプログラミングの勉強もしたが、女性には残業手当が付かなかった。結局、周囲からの圧力に耐えられず一年で退職した。結婚し2子をもうけたが29歳のとき夫を亡くした、再び働かざるをえなくなった。

幸いにもその頃から職に困らなくなった。専門学校の夜間クラスでプログラミングを教えるかたわら、非常勤の予備校講師として数学を教え、SEとしてソフトハウスにも勤めた。やがて高校から専任教師として声がかかり、20年以上に渡る教員生活が始まった。顧問を務めたオーケストラで生徒たちと交流することが何よりも楽しかった。

退職後、この春から京大に科目等履修生として通い始めた。情報に関わる資格を取るためだ。情報処理から離れて数十年、コンピュータは様変わりした。わからないことばかりだが、それが新鮮で面白い。学部生として在学していた当時は「女子は短大を出てすぐ結婚し、25歳で子供を産め」という世間からの圧力が強かった。今は思い切り勉強できることが嬉しい。

京大の女性研究者


学生以外の立場で京大初の女性教員はポーランド出身のフロラ・アリス・リリエンフェルト(1889―1977)で、29年に農学部の遺伝子実験のため採用された。また、54年には初の女性助教授として法学部に木村静子(1929―)が、70年に初の女性教授として柳島静江(1924―2019)が教養部に就任した。木村は自身の半生を綴った『随想』という著作のなかで、京大で学生・教員として過ごした時代を振り返っている。

大学院生を含む女性研究者の動きとしては、保育所の開設が挙げられる。63年に自宅での共同保育「朱い実」を開始した院生は翌年、婦人研究者連絡会を結成した。64年6月15日号には投書が掲載され、増えゆく女性大学院生の研究環境の保障のため、大学による保育所開設を訴えている。この動きを受け、京大の職員組合が総長交渉を重ねた結果、65年4月には北部保育所が、翌年9月には南部保育所が開設されることとなった。

『随想 昭和を生きたひとりの女性法学研究者』
木村静子/世界思想社/2016年/3080円

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京大女子学生アンケート


当事者である女子学生たちは、自らの大学生活をどのように受け止めているのか。一見すると男子と変わらない学生生活を送る彼女たちが、その実抱えている女子学生としての不安や困難、少数派としての意識などを聞いた。「女子校」「共学」はともに出身高校の種別。

質問項目

①ゼミの男女比率(男:女)

②大学の制度面・設備面で女子学生として困ること

③大学において女性であることを強く意識した経験(授業/ゼミ/サークル/就活含む)あるいは、「自分が女子学生だからこう扱われる」と思った・「男子学生ならこう扱われなかった」と思った経験

④進学・学部選択において女子であることを理由に決断した経験

⑤大学への要望

総人2・女子校


①未所属。ゼミ形式の授業はほぼ半々
②なし
③所属しているサークルに、男子だけが入れるライングループがある。体力の必要な企画を男子だけで実施しているらしい。合理的な棲み分けとも取れるが、男女の区別も感じる
④浪人しているためか、周囲から留年・休学や院進は控えた方がいいと言われた。結婚・出産など考えて、社会に出る時期が遅くなると困るという趣旨。あまり気にはしなかった
⑤ない。一般教養で女子1人の授業もあったが、対策しようがない

総人3・女子校


①未所属
②他大学で女子トイレに無料で生理用品を置く動きがあるが、京大では実施されていない
③1回生のクラスに女性が少なく、男子学生が冗談で「男子校だよな」と言っていた。男女比の偏りを笑いのネタにすることに、多数派である男子生徒の視野の狭さを感じた
④他の女性から、結婚などを希望するなら院進はよく考えた方がいいと言われた。結婚出産は長年変わらず女子学生の壁になっている
⑤女性教員の割合を増やしてほしい。女子学生が学びの場にいやすくなると思う。また、ジェンダー論やフェミニズムに関してより体系的に学べる講義が増えるといい

文3・女子校


①未所属
②なし
③体育会の部活にいるが、審判など、女子は危険でできない仕事がある。一方、後援団体やOB会との連絡は女子の担当。そういう差は仕方ないと思える程度なので嫌ではない
④院に行くと卒業が24歳になる。結婚したいし子供が欲しいので、行かない選択を取るまでではないが、少し不安
⑤早急にどうにかして欲しいことはない。女子だから特別な待遇を受けるというのも、違和感がある

文3・共学


①未配属
②なし
③サークルの場は恋愛ベースで話が進むことが多い。フラットな関係でなく、恋愛対象として見定められる感じがする。居酒屋のバイト中少子化の話題になり、男性客に「絶対子供産んでね」と言われた。留学先は治安の悪いところは行きにくいし、インターンで1人で農家に泊まることは難しいと感じる
④浪人や留学を決める時に、ライフプランとの兼ね合いで少し悩んだ。結論は変えなかった
⑤ジェンダーの授業で、フェミニズムに対するあまりに攻撃的な発言は、生徒に届かないようにしてもいいと思う

文4・共学


①3:1
②京大の施設ではないが、合宿で宿の部屋にお風呂が無くて温泉に入るしかなく、月経と重なると困ると思った
③大学に入ってから女子として扱われることが増えた気がする。より丁重に扱うというか。部活など男の子が多いときは特に
④なし
⑤特に思いつかないが、東大の女子学生への家賃補助月3万は羨ましい

文M1・共学


①1:1くらい
②共南や文学部東棟は女子トイレが少ないと感じる③授業で自分以外が男性だから話さずに終わることはよくある。また、修士で初めて、自分の専門で女性教員の授業を受けた。女の先生の方が自分の将来像に近く憧れる④なし⑤なし

文D2・共学


①1:1くらい。博士課程の留学生は女子が多い
②健康診断の胸部X線の技師が男性で嫌だった
③シンポジウムの懇親会で、登壇者に「最近の学生はおしゃれだね」と言われた。側にいた学生はおしゃれだったが、自分はおしゃれも化粧もしてなかった。おしゃれしなくて悪かったですねという気持ちで。女性のほうが化粧などを求められる場面が多いと感じる
④なし
⑤女子学生のX線技師を女性にして欲しい。また、自分の専門にそろそろ女性の先生が来てもいいのではと思う

教育4・共学


①3:2くらい
②なし
③1回生の時入っていたテニスサークルは、女子は全員入れるが男子はセレクションを通過する必要があった。入部後も女子はその場を賑やかす担当という空気があった
④親が保守的で、女子大へ進学してもいいのではと言われた。「女の子だから優秀な大学に行ったら婚期を逃す」という主旨。就活では、企業側に福利厚生や出産について尋ねにくい空気があった
⑤トイレの不審者情報の掲示をよく見る。見回りの強化、電気や防犯カメラを増やすなどの措置をしてほしい

法3・女子校


①男子11人女子3人
②なし
③授業やゼミで顔と名前を覚えてもらいやすい。性差の意識は人によるが、サークルで女性だからと力仕事を任せてもらえず、対等でないと感じたことがある
④あまり女性であることを意識していない。出産など女性にしかないイベントもあるが、両立できるはずと思う
⑤女子学生を増やしてほしい。男女の区別がある社会で、女性ならではの感覚があるはずなので。また、生理休暇の導入を検討してほしい

理2・共学


①未所属。クラスは40人中女子7人
②実験の授業を受ける建物は2~4階が男子トイレのみ
③実験のグループは女子が2人以上になるように組まれる。研究室に女性がいるかどうかを進路選択の参考にしている
④高校の同級生から「女子なのに理学部」と言われた。だからあえて理学部を選んだのかも
⑤入試の女子枠、女性の研究ポストといった雑な女性施策によって、優遇されていると下に見られる風潮を作らないでほしい

理M1・女子校


①研究室全体では、10人中7人が女性。学生は4人中1人
②なし
③担当教授が女性で、自分だけ下の名前で呼ばれるなど、男子学生と比べ近い立場で関わることができる。周囲の男子学生は皆親切だが、男子同士と同じように関係を作ることはできないとも感じる
④博士課程に進学すると卒業が25、6歳になり、婚期を逃すのではと考えることがある
⑤女性研究者応援は盛んになってきていると思う。要望は特にない

医医2・共学


①未所属。学科は4:1くらい
②なし
③解剖班で女子が均等に割り振られているのが、気になることはある。理由は分からないが、女性教員は研究より臨床に進むイメージがある
④医学部の入試で、女子の点が低くされることがあったので、不正がなさそうな京大を選んだ。学部選択で、女子だからということはあまり考えなかった
⑤なし

医医3・女子校


①未所属。学科は3:1くらい
②なし
③男性教授が多く、男性基準のキャリア形成の話ばかり聞く。女性教授から聞く話もうまくいった例であって、一般化できないと感じる
④もともと医学に興味があったが、母から「資格を持っていると出産育児を経て職場復帰しやすい」と言われたことが、医学科に入る後押しになった
⑤大学の施策で女性支援の流れが作られることはいいと思うが、制度を利用した際に周囲がどう思うか気になる

工3・女子校


①未所属。学科は4:1
②建築学科のある建物は女子トイレが3階のみで、階段を上り下りする必要があり不便
③サークルに「女子/男子副委員長」という性別固定の役割がある。インターン先で教室に泊まり込む人が多かったが、自分が泊まる際には「女子なのに泊まるんだ」と言われた
④大学進学の際、親から、出産などのブランクを考え手に職をつける方がいいと薬学部を勧められた。弟には勧めていなかった
⑤女子トイレを増やして欲しい

農2・女子校


①未所属。学科は男15女20
②なし
③男子運動部でマネージャーをしている。選手とマネで合宿の宿舎が違うなど、区別は多い。重いものを男子選手が持つ雰囲気もあり、ありがたいが違和感を覚えることもある
④大学進学において、工学部や理学部は選択肢に入らなかった。男性9割の予備校の環境がストレスで、男性が多い場を無意識に避けていた。進路は、男女比が均等か女性が多そうな職種をイメージすることが多い
⑤現状の男女比で不便しない。変えてほしいと思うことはない

農M2・女子校


①11:14
②なし
③自分の専攻で教授と准教授が全員男性で、女性は研究者になりにくいのだろうと感じる。リーダーシップをとる女子学生が少なく、サークルで仕切り役を担当した時に、一部の飲み会から排除された。男子の多い飲み会で、下ネタや恋愛関係をいじるホモソーシャルな「男子ノリ」に巻き込まれる。就活では、商社の説明会で「女子学生用パンフレット」に一般職しか載っていなかった。就活支援会社で「30までに結婚するなら院に行くのは時間がもったいない」と言われた
④親や親戚に「京大に行くと結婚できない、早稲田くらいがちょうど良い」と言われた
⑤賛否あるだろうが、教員に女性枠を作ってほしい。「女性でも研究職ができる」と思えるロールモデルがほしい

総評(桃)


なしが10人。「意外なほど思いつかない」との言葉もあった。3名が「女子トイレが少ない」と回答した。

学生団体の活動が多く話題に上がった。特に運動系団体で、活動や仕事分担など実務に男女の区別が見られるという。恋愛のイメージと結びつけられる、場を盛り上げる役割になるなど意識の上での性別役割に違和感を抱く人もいた。研究では、理系学生を中心に、男性教授の多さが指摘された。女性教授の方が交流しやすい、研究職に女性のロールモデルが少ないなど、女性教授の必要性が挙げられた。

親から京大以外の大学の受験や、出産育児を考慮した資格取得を勧められた人が4人いた。大学入学後も、結婚・出産といったライフプランとの兼ね合いで、留年・休学や院進を躊躇した学生は多いようだ。医学科の生徒からは入試不正の話題も出た。

7名が「なし」と回答し、「しかたがない」との言葉も。女性教員の割合の増加に言及した人が3名いた一方、女性支援制度利用時の周囲の反応が不安という人も2名いた。

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