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花開かぬナゾ解明 変異種キャベツ 新品種開発に期待

2023.04.01

通常のキャベツが開花する条件下でもほとんど開花しない「不抽苔(ふちゅうだい)」というキャベツの変異種がある。1978年に京大の名誉教授が発見し、45年間挿し木によって維持されてきた。京大農学研究科の木下有羽博士課程学生ら研究グループは、不抽苔の開花が抑制される仕組みを明らかにしたと発表した。

植物の分子メカニズムの解明においては、交雑分離集団を用いた手法をとることが多いが、開花しない不抽苔の研究ではこの手法を用いることが困難だった。

今回の研究では、花になる芽をつくる「花芽分化」を誘導する「フロリゲン遺伝子(FT)」が強く発現したダイコンに接ぎ木することで、本来ほとんど開花しない不抽苔を開花させ、その子から雑種のグループ3種を作成することに成功した。グループを解析した結果、不抽苔が開花しない性質をもつ原因となる遺伝子の候補として、2つの遺伝子を特定した。

キャベツを含むアブラナ科植物の多くは、長い期間低温にさらされると花芽分化が進むが、キャベツは花芽を伸ばすといわゆる「とうが立つ」状態となり食用に適さなくなる。このため、花芽分化しにくい品種の開発が求められており、今回明らかになった開花を抑制するメカニズムの応用が期待される。

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