インタビュー

〈京大知伝〉ロボコン出場までの設計図 工学部物理工学科2年 高室航平(たかむろ・こうへい)さん

2023.03.16

〈京大知伝〉ロボコン出場までの設計図 工学部物理工学科2年 高室航平(たかむろ・こうへい)さん

西部棟内の「工作室」にて。後ろのボール盤でアルミパイプに穴をあける様子を見せてくれた高室さん

子どものころからロボットエンジニアになるのが夢だった。小学校のとき学生ロボコンをテレビでみた。競技で、機械が実際に動いている様子が「ロボットを通して作り手がわかる」ようで面白かった。大学入学後、エンジニアになる夢を叶えるべくロボット作りの経験をつけたいと思ったのが、機械研究会に入部した一番の動機だ。

機械研究会はNHKロボコンをはじめ、全国的なロボットコンテストに数多く出場するサークルである。ロボット製作には「機構」「制御」「回路」の3技術が必要で、部員はいずれかの分野を専門にする。ロボコン未経験で入部し1回生から活動を続ける高室さんは、新歓隊長を務めながら、ハードウェアを担う機構班の中心として日々ロボット製作に邁進する。

20人ほどの部員が活発に活動しているものの、もともとロボット製作は個人作業が多いことに加え、コロナ禍で対面での活動が制限されたことで、部員同士の交流は薄かった。「顔、名前もわからない人とロボットは作れない」。そう思い立ち、毎週1回昼に例会を開いて縦に横に部員同士がつながる場所をつくった。

「達成感のためだけ」。機械づくりの醍醐味はそれに尽きるという。ハードウェアの設計は、CAD(コンピュータ支援設計)ソフトで図面を描き、材料の加工前にCNC(コンピュータ数値制御)で微調整を行う。できた設計図をもとにロボットを組み上げていく。初めてロボコンに出場したとき、設計図を仕上げ機体を作り上げたときの達成感はひとしおだった。

ゼロからの設計には終わりがない。大まかな機構が出来てからの精密な設計は煩雑なうえに、自分たちが組み上げやすい、かつ回路や制御の人が扱いやすい機体をつくることが求められる。過去にはせっかく作った設計図が大会間近に丸々没になることもあった。その苦労と地道さは労働と感じるときもあるが、機構について考えているときはやはり楽しい。「機械づくりに必要なのは、忍耐と丁寧さ、ですかね」とまっすぐな表情で語る。

機械研究会はもともと、単に機材を共有する「ものづくりサークル」だったが、近年、ロボコンで顕著な成績を残したことで入部希望者の質が変化し「ロボコンサークル」のようになった。高室さんもロボコンに憧れて入部したひとりであり、現在、6月の「NHK学生ロボコン」出場に向けて奮闘中である。

機械研究会の魅力について最後にこう語る。「苦しいこともあるが、自分のためになることが楽しみながらできる」。機械に強く尊敬できる周りの先輩から刺激を多く受けながら、ひたむきにモノづくりに取り組んでいる。「やるもやらないも自由だが、意志さえあればなんでもできる」。岡山朝日高校出身。(怜)

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