インタビュー

〈京大知伝〉水上で「京大の時代」築く 工学部建築学科4年 宮地壮さん

2025.03.16

〈京大知伝〉水上で「京大の時代」築く 工学部建築学科4年 宮地壮さん

2023年8月、大会初優勝を決めたレースのフィニッシュ時(写真は宮地さん提供)

波と風の力のみを使って水上を巧みに「滑走する」マリンスポーツ、ウインドサーフィン。京大ウインドサーフィン部の団体キャプテンを務めた。2月に開催された全日本学生ボードセーリング選手権大学対抗戦では、25チームが出場する中、実に7年ぶりとなる日本一の称号を手にした。

競技との出会いは大学入学後。新歓で実際に競技を体験するうちに「短時間でもうまくなっていく実感があった」と運命の出会いを果たした。50名ほどいる部員のうち、大半は大学に入ってから競技を始めるという。

条件が重なると、ときに時速50㌔近い速さで水面を進んでいくこともある。「日常では味わえないようなスピード感が魅力」。水上で飛ぶ、跳ねるなどの芸術性を競う種目も存在するが、決められたコースを2周する速さを競うレース競技に取り組んできた。

レースはときに、風速10㍍超の強風が吹く中で行われる。水上の波の立ち方のほかに、水面の色も参考に風を予測する。目に見えない風を読むためには高度な技術が必要だ。また、同じ水面でもコース選びによっては全く異なる風の様相を呈することもある。「勘を養うためには経験しかない」。部全体の練習日以外にも個人で練習を重ねてきた。

チーム作りの目標に掲げたのは団体戦での学生日本一だ。「ただ優勝するだけではなく、どんな風が来ても優勝できるチーム作りを」。競技ではチームから3人の選手が出場する。各選手の順位を合計してチームのポイントを計算するため、3人全員が高順位を取ることが優勝の絶対条件となる。チーム全体の技術力向上を目標に、後輩が指導を受けやすい環境づくりを心がけてきた。

転換点は2回生のころ。団体戦の選考レースに落選し、日本代表入りもあと一歩のところで逃してしまった。その後、3回生でキャプテンに就任。チームを引っ張る立場だったが、まとめ役としてのプレッシャーに襲われた。スランプも経験しつつ、練習を重ね実力をつけることで少しずつ、重圧と向き合っていった。「辛くて苦しい4年間だったが、やりきった達成感は何にも変え難い」。

キャプテンとしてチームを牽引する中で、目の前の優勝はもちろん、この先何年間にもわたって「京大の時代を築く」ことを意識してきた。そのためには、上回生の持つ技術を、次の世代へと伝承することが必要だ。2月で引退となるが、今後はOBとして引き続き後輩の指導にあたる。「現役部員に負けるようになったら潮時かな」と笑ってみせた。修猷館高校(福岡県)出身。(爽)

優勝が決まり記念撮影をする団体メンバー。真ん中が宮地さん

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