インタビュー

〈京大知伝〉「自分の世界」ジャグリングで表現 工学部理工化学科3年 水野凌斗さん

2024.11.16

〈京大知伝〉「自分の世界」ジャグリングで表現 工学部理工化学科3年 水野凌斗さん

よく活動を行うクスノキ前で撮影。愛用するシガーボックスは高校生のころから使っている。重さは約240㌘で、演技中、風に流されることも(撮影=匡)

ボウリングのピンに似た「クラブ」や拳ほどの大きさの「ボール」、中国ゴマの「ディアボロ」……。色や形も大きく異なる道具を巧みに操り、観客を沸かせる。京大を中心に活動するジャグリングサークル「京都大道芸倶楽部Juggling Donuts」の会長として約60名を束ねてきた。

ジャグリングと出会ったのは中学1年生のころ。校門のそばで活動するジャグリング部を毎日、目にしたことがきっかけだ。京大への進学に際しては、Juggling Donutsの存在が大きな後押しになった。

演技では様々な道具を使うが、なかでも得意とするのは「シガーボックス」と呼ばれる箱を使った演技だ。複数の箱を、挟み込んだり回転させたりしながらパフォーマンスする。技が決まったときのダイナミックさに一目惚れして以来、技術を磨いてきた。

「ジャグリング」には話術を交えて観客を盛り上げる大道芸だけでなく、声を出さず、音楽に合わせて技を繰り出す「競技ジャグリング」が存在する。中学生のころから後者を中心に取り組んできた。「お客さんと一緒にその場を盛り上げる大道芸と比べると、自分の世界に入り込んで表現を見せるところが魅力」

競技ジャグリングでは、フィギュアスケートのように曲に合わせて技を披露する。技の難易度や完成度、演技構成などが採点の対象だ。声でメッセージを伝えられないことは表現の上でハードルにもなる。「観客を自分の世界に引き込む」演技のために、体の動きはもちろん、道具の軌道や技の緩急にも神経を使う。「表現したいことが観客に伝わる瞬間がやりがい」

印象的なのは、今年5月に行われたジャグリングショーだ。ショーに先立って練習方法を変え、「自分一人で完結する」練習に変えて、仲間と演技について意見を出し合う機会を増やした。複数の視点から演技を見つめ直し、「刺激をもらえた」と振り返る。また、協力して一つの演目を作るうちに周囲を見渡すことも増えた。「仲間の成長を見ることが好きになったのが一番大きな変化」。「自分だけの世界」から視野を広げ、変化していく自分自身にも大きな充実感を抱いた。

自身の成長を通して、Juggling Donutsのもつ雰囲気に特別な価値を見出した。「『お互いを尊重し高め合う雰囲気』が好き」。そういった空気感をさらに発展させて「憩いの場」としてのサークルづくりを心がけてきた。集大成としてNFではジャグリングショーに挑戦する。「細部までこだわった演技を見てもらえれば」。東海高校(愛知県)出身。(爽)

◆Juggling Donutsからのお知らせ
NF期間中は毎日(1、2日目の13時~14時を除く)大道芸や音楽に合わせたパフォーマンスなど、様々な演目がお楽しみいただけます! ぜひお越しください!
場所:吉田南図書館前

ジャグリングに使う道具たち。シガーボックスは一番奥。名前は形が「たばこの箱」に似ていることに由来する


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