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京大 現地調査を拒否 琉球遺骨 控訴審第3回

2023.02.16

2月9日、京大が保有する琉球民族の遺骨の返還を求め、王族の子孫らが起こした訴訟の控訴審第3回口頭弁論が大阪高裁で開かれ、約90人が傍聴した。裁判長が遺骨の保管状況に関して京大総合博物館に自ら赴き確認することを提案したが、京大側は拒否した。一方で、遺骨の写真を提出することを検討するとした。この件は21日の進行協議で改めて審議される予定となっている。

原告の玉城氏は意見陳述で、遺骨収集の違法性を判断しなかった原判決を批判した。また、前回の弁論に続き、遺骨の引き取り人が現れれば返還する旨の当時の琉球新報の記述に改めて言及した。その上で、自身が引き取り人であるとし、遺骨の返還を訴えた。

一方で、京大側は今回の弁論に先立って提出した準備書面で、当該記述の存在自体は争わないとしつつ、そのような約束はしていないと否定した。

また、原告側が求めていた遺骨の保管状況の検証について、百按司墓が第一尚氏一族のものであるという前提に疑義があること、検証を行っても人骨の朽廃といった変容は判断できないこと、人骨の劣化を招くことなどを理由に拒否した。裁判中には裁判長が遺骨の保管状況の現地調査を打診したが、京大側は「検討できない」と退け、傍聴席からは怒号が飛んだ。ただ、京大側は、撮影した上で報告書として提出すること、その場合の条件について検討すると譲歩した。なお、第1審でも原告側は検証を求めていたが、京大は保管ケースの写真の提出にとどめ、地裁は検証を見送っている。

弁論後、原告側は大阪弁護士会館で報告集会を行った。原告の金城氏は現地調査の打診を京大側が拒否したことに触れ、「(京大側は)裁判官の言うことを聞かないと言うとるわけや。そんなん極悪非道や」と京大側の姿勢を非難した。

訴訟は、昭和初期に京都帝国大学の研究者が、沖縄県今帰仁村の百按司墓から持ち出した遺骨について、原告が返還と損害賠償を求めて2018年12月に提起した。

2月21日には進行協議が非公開で開かれ、写真提出の条件や遺骨の保管状況の現地調査について議論する予定。

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