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新OCW 通常授業は原則配信せず 廃止一転継続へ、既存動画は維持

2023.02.16

新OCW 通常授業は原則配信せず 廃止一転継続へ、既存動画は維持

従来の京大OCWと「OCW2.0」の比較

1月17日、京大はオープンコースウェア(OCW)の今後について、新たな基盤「OCW2・0」を運用するが、通常講義は基本的に配信しないと発表した。既存の動画などは削除されない。OCWは大学が授業動画など6千件以上のコンテンツを無償で公開するウェブサービス。京大OCWを巡っては昨年8月、所掌する組織とともに閉鎖する予定であることが判明したが、学内外から存続を求める声が上がり、継続する方針に転換した経緯がある。

従来のOCWは通常講義や公開講義の動画、資料、シラバスなどを公開してきた。しかし、弊社の取材に対し京大は、今後検討する余地は認めつつ、OCW2・0では通常講義の映像は基本的に配信しないと回答した。また、従来のOCWは「公開する動画の趣旨、目的が明確でなかった」と指摘し、OCW2・0では高校生や社会人などをターゲットにした講義を中心に配信するとした。このほか、海外の優秀な学生の獲得に繋げるため英語による発信を強化することや、OCW2・0で配信するため講義を新たに企画する可能性も明らかにした。動画以外を公開するかは未定だという。

従来のOCWは高等教育研究開発推進センター=昨年9月で廃止=が運営してきた。OCW2・0については新たに開設する「コンテンツ企画・支援室(仮称)」が、全学的なコンテンツの制作・発信を支援するという。センター廃止を巡っては教職員雇用にも波紋が広がっていたが、京大は企画・支援室を事務本部内に置くことを明らかにしつつ、教員を配置するかを含めて体制については検討中だと回答した。

今回の発表では、OCW2・0のほかに、京大や各研究科のユーチューブなどの動画を一元的に検索できるシステム「KU‐Search(仮称)」を構築することも明らかになった。京大は、これらの運用開始時期は検討中としつつ「できるだけ早急に」と回答した。

OCWの運用方針は、昨年9月に設置された「今後の京都大学オープンコースウェアに関するタスクフォース」において検討された。タスクフォースは、平島・教育担当理事を委員長として、野崎 ・広報担当理事、稲垣・渉外担当理事、江上・大学院教育支援機構長、引原・情報環境機構長、及び研究科長2名の計7名で組織され、5回の審議を行った。

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