ニュース

OCWを「作っちゃえ」 京大生有志 代替サイト制作

2022.11.01

OCWを「作っちゃえ」 京大生有志 代替サイト制作

「OCW Central」のホームページ

10月中旬、京大生有志が、京大の講義動画や資料を誰でも閲覧できるウェブサイト「OCW Central」を制作し公開した。9月末に新規コンテンツの追加を停止した、京大オープンコースウェア(OCW)の代替を図り、一部の機能を拡充している。制作チームの宣伝ツイートには「京大OCW廃止の危機!?なら自分たちで作っちゃえ!」と書かれている。

制作したのは京大情報学研究科の学生有志。京大OCW廃止のニュースを受け、その数日後に3人で開発を開始した。発案した修士1年の大戸康隆さんは本紙の取材に対し「私自身がOCWの利用者で深い思い入れがあったため代替となるサービス作成を決断した」と答えた。公益性の高い教育資源の保全とアクセス向上を目指し、現在は5人で活動している。

サイトでは講義タイトル・教授名・分野名などで講義を検索できる。また、京大OCWにはなかった、講義音声の自動書き起こし機能なども利用できる。現在閲覧できるのは京大OCWと同じコンテンツのみだが、今後大学に協力を仰ぎコンテンツを追加することも視野に入れているという。

京大OCWは、非営利的かつ教育的な目的に限り、著作権の帰属を明示することなどを条件にコンテンツの共有や転載を許諾している。本サイトはこれに基づき公開された。また、本サイトは京大OCWと同様に、YouTubeを利用して講義動画を公開している。YouTubeの規約は他人が作成した動画のダウンロードを禁止しているが、本サイトでは規約に則りページに埋め込んでいるため、抵触しない。

京大は、OCWを「より質の高いものとして」発信するため、年内に結論を出すことを目指し全学的な検討を開始したと発表している。なお京大OCWでも、既存のコンテンツは当面のあいだ公開されている。

飯吉透・学術情報メディアセンター教授(京大OCWを管轄した高等教育研究開発推進センター=9月末に廃止の元センター長)

「(代替サイトについて)京大らしい素晴らしい動き。一方、管理業務や著作権処理はボランティアでは賄いきれないことが懸念される。今後のOCWの推進について、大学執行部はこのような自助的な努力や新たなアイデアも活かして検討してもらいたい」

関連記事