ニュース

OCW「積極的発信」検討へ 閉鎖発表から一転 年内に結論

2022.10.16

京大は9月16日にHPで、オープンコースウェア(OCW)に関する特任チームを設置し、「積極的に発信」していくための検討を始めたことを発表した。OCWは大学が授業動画など6千件以上のコンテンツを無償で公開するウェブサービス。管轄していた高等教育研究開発推進センターの廃止に伴い9月末で閉鎖することが8月上旬に発表され、学内外から継続を求める声が上がっていた。

大学は8月4日、高等教育研究開発推進センターの廃止を発表した。センターが担う諸事業の一部は他部署に移管することが明かされたが、OCWなどは終了することがわかった。これを受け、OCWの運営担当者が事業終了を「残念でならない」と表明したほか、村上正行・阪大教授らが呼びかけ、センターの機能存続を求める署名がインターネット上で始まっていた。

こうしたなか、大学は9月16日付でHPに掲示を発出。「今後の京都大学オープンコースウェアに関するタスクフォース」を設置し、OCWを「より質の高いものとして」発信するため、年内に結論を出すことを目指し全学的な検討を開始したと発表した。閉鎖発表からの方針変更について大学は、本紙の取材に対し「学内の意見を参考に検討した結果」と答えた。一方、OCWを継続する方針で協議しているかについては「現在検討中」として回答しなかった。

9月30日にはセンターが廃止された。OCWサイト上の既存コンテンツは教育推進・学生支援部教務企画課が当面のあいだ運用する。

京大OCWでは、授業動画以外にも、研究会やシンポジウムの映像・資料を公開しており、誰でも閲覧できる。9月時点では、ユーチューブチャンネル上に6千本以上の動画と約10万人の登録者を抱えていた。OCWは、マサチューセッツ工科大学(MIT)が2001年に発表した仕組みで、05年に京大を含む6大学が日本で初めて導入した。

職組が声明 センター廃止の説明求める

京大の職員組合は9月16日、大学宛てに声明文と申入書を提出し、高等教育研究開発推進センターの廃止理由を説明することなどを求めた。

声明文で組合は、センター廃止の決定を行った1月の役員会の議事録には審議内容が明記されず、廃止を決定した文言も記されていないと指摘。廃止発表後も明確な理由を説明していないとし、「説明責任の放棄」と批判した。また、センターの専任教員は他部署に移籍が決定したものの、他のスタッフの多くが退職せざるをえなかったとし、突然の組織廃止は「働く者の権利を侵害」すると抗議した。

大学は本紙に対し、この申入れを受けてセンターの廃止理由を説明する場を設ける予定はないと答えた。

関連記事