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茶カテキンの抗ガン作用高める 食品由来の新薬開発に前進

2008.12.03

京都大学再生医科学研究所の玄丞恷・准教授らの研究グループは26日、緑茶の渋み成分である茶カテキンの構造を変化させ、抗がん作用の高い化合物を作ることに成功したと発表した。

茶カテキンの主成分であるエピガロカテキンガレート(EGCG)は抗がん作用があるとして以前から注目を集めていたが、生理的条件下での化学構造安定性が低く、すぐ分解してしまう欠点があっ
た。 これに対し、玄丞恷・准教授らの研究グループはリパーゼ触媒を用いてEGCGに脂肪酸エステルを導入する手法を開発。合成によって得られる化合物(EGCG-C16)は、分解にかかる時間がもとのEGCGのおよそ10倍であることがわかった。

マウスがん細胞にEGCG-C16を注射したところ、EGCGのみを注射したマウスに比べて、1ヶ月後の腫瘍サイズが約10分の1に抑えられた。この理由は、EGCG-C16ががん細胞の受容体の活性を阻害することにより、がん細胞の自殺(アポトーシス)を促しているためであることが、今回の実験により示された。

研究成果について玄丞恷・准教授は「食品を原料に使っているため、今後副作用の少ない抗がん剤の開発が期待される」とコメント。また研究グループの松村和明特任助教は、今回の研究の意義について「(茶カテキンの)抗がん効果が過酸化水素によるものだという論文も多く出ていたが、今回行った実験結果から、生体内における過酸化水素の寄与は小さいことが示された」と語った。

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