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裁判長 「条例解釈の一貫性立証を」 立て看訴訟 第8回弁論

2023.01.16

裁判長  「条例解釈の一貫性立証を」 立て看訴訟 第8回弁論

原告の報告集会=弁護士会館

京大周辺の立て看板規制をめぐり、京大の職員組合が京都市と京大を提訴している裁判で、12月23日、第8回口頭弁論が京都地裁で行われた。弁論で裁判長は、被告側には2012年の最初の行政指導から組合の看板撤去に至る17年までの間で、条例の解釈を変更していないことを立証する必要があると指摘した。原告は解釈を恣意的に変えたと追及しており、被告は次回までに対応を検討するという。次回弁論は3月13日の11時から行われる。

原告側は前回弁論で、新たな争点として、被告側の市と大学が協議し、条例の解釈・適用を恣意的に変更して組合の活動を妨害したと主張し、行政指導に関する文書の開示を求めていた。この争点について裁判長は、原告側と被告側には事実の認識に相違があると認めた。原告側の要求通りにすべての行政文書を開示する必要性は明らかではないとしたうえで、被告側は何らかの方法で条例の解釈が変化していないことを立証する必要があると述べた。これを受け、市の弁護士は検討に2月末までの時間を要求した。

また、被告京都大学は提出した準備書面の中で、原告との関係では立看板の設置についての法的な労使慣行は「成立していない」と主張した。団体交渉におけるごく一部の発言をもって労使慣行が成立していたとする原告の主張は「牽強付会」だとし、改めて行政指導の内容を開示する必要はないと述べた。

京大は17年10月に行政指導を受け、翌年5月に立看板規程を施行し、基準に反する看板を一斉に撤去した。組合は、事前通告なく組合の看板が撤去されたとして抗議したが、「誠実な説明がなかった」として2021年4月に提訴した。京大は「再三撤去を通知した」と説明している。

報告集会で組合の弁護士は、新たな争点を持ち出したことで裁判官に主張が伝わり、一定の成果が出たとした。組合の高山佳奈子教授は、被告側が文書を隠蔽しようとしていると指摘し、労使慣行は成立していないという被告側の主張を非難した。その上で、行政指導に関する書類の開示を求めることで裁判が長びいていることに言及し、「おかしな」方向に向かっているのではなく「問題の本質に引き寄せ」られているとした上で、支援者に引き続きの支援を求めた。

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