立て看訴訟 京都地裁 京大職組の請求棄却 職組「不当極まりない」 控訴へ
2025.07.01

判決後に「不当判決」と掲げる髙山・法学研究科教授ら(=京都地裁前)
京都市は2017年、吉田キャンパス周辺の立て看板は市の屋外広告物条例に抵触するとして京大へ条例への適合を求めた。これを受けた京大は学内規程を制定し、18年と20年に京大職組が百万遍門付近などに設置していた看板を撤去した。職組は、21年に京大と京都市を提訴し、市の行政指導と京大の看板撤去により表現の自由や労働基本権を侵害されたとして、市と京大に330万円、京大による看板撤去と不誠実な対応が不当労働行為にあたるとして、京大に追加で220万円の損害賠償を求めていた。
これまでの裁判で、職組は「タテカン文化自体が地域の歴史的景観を作ってきた」と訴え、市と京大の対応を批判していた。
また職組は、京大が総合博物館のポスターなどを減らせば、条例に抵触することなく職組の立て看板を設置できたにもかかわらず、利用調整に一切応じなかったとして、京大は職組との団体交渉に不誠実な対応をしたと主張した。一方京大は、代替場所を提案していたと反論していた。
今回の判決で京都地裁は、条例が過度に広範な規制をするものとはいえないなどとして憲法に違反しないとの判断を示した。
また、京都地裁は、京大がキャンパス周辺に立て看板を設置することを明示的にも黙示的にも許可していなかったとして、職組の立て看板を設置する権利を認めなかった。さらに、京大が外構部分への立て看板の設置は許容できないと職組に明確に伝えたうえで、代替措置を提案していたと指摘し、大学施設の管理権を有する京大の裁量を逸脱しないとして職組の請求を認めなかった。
当日は約80名が傍聴に訪れた。判決主文が言い渡されると、参加した学生らが「ナンセンス」と声をあげた。判決について、京大は本紙の取材に「裁判所において本学の主張を認めていただいた結果だと理解している」とコメントした。
職組「非常に残念」
判決の後、原告はハートピア京都(中京区)にて報告集会を開き、職組に所属する教員や弁護士らが判決への受け止めを語った。
原告の弁護士は、「判決は京大の主張を鵜呑みにしたものであり、職組の立て看板を設置する権利を認めなかったことは非常に残念だ」と述べ、控訴する考えを示した。
髙山佳奈子・法学研究科教授は、現在も立て看板や学会の看板を京大周辺に掲示することが難しい状況が続いているとして、「状況を改善することができなかった」と悔しさをにじませた。