ニュース

立て看訴訟結審 6月判決  撤去の根拠めぐり再応酬

2025.03.16

京大周辺の立て看板撤去をめぐり、京大の職員組合が京大と京都市を提訴している裁判は、2月20日、京都地裁大法廷で結審し、40名ほどが傍聴した。原告側は、被告側が撤去の根拠とする屋外広告物条例の解釈の恣意性や、撤去の不当性を主張した。判決は6月26日の午後1時10分から、同地裁で言い渡される。

開廷後、組合の中央執行委員長を務める細見和之氏が陳述した。同条例を根拠としても、「むしろ京大が違反していたことが裁判で明らかになった」と述べ、組合の看板は「撤去されるいわれのないもの」だと主張した。

同じく原告側の村山晃弁護士は、裁判で同条例が「非常に恣意的に解釈されうる条例であると明らかになった」と主張した。また、看板の撤去は、「京大との誠実な協議がない、組合を無視した不当労働行為だった」と訴え、「ささやかな職員組合の表現活動が認められる状態を望む」とした。

対する大学側は、事前提出した書面上で原告に反論。屋外広告物の設置時に、同条例において「許可が必要な範囲や満たすべき認可基準は明確」であって、その広告物が許可基準に適合しているかを、行政は「客観的に判定し得る」と主張し、条例の解釈の恣意性を否定した。

また、看板の撤去後に、具体的な代替設置場所の提案をするなど、「誠実な対応を行ってきた」などと記述し、「原告の主張する不当労働行為はいずれも成立しない」と訴えた。

裁判は20分ほどで閉廷した。その後開かれた報告集会で、原告側の髙山佳奈子教授は、看板規制は「本来であれば団体交渉で話し合うべき問題だったのに、その機会が与えられなかった。労働法上は違反だったと言える」と、京大の対応を批判した。

髙山教授らは、2017年に立て看板が条例に違反すると市が京大を行政指導した件に関し、市と京大に対して情報公開請求を行っている。集会で教授は、1月に市から一部開示があったと明かし、文書の前半では、条例の制定背景にある景観問題ではなく、主に「道路に設置された立て看板の安全性が扱われていた」と述べた。さらに、文書の後半は黒塗りされていたことから、学生に関する内容が記載されていると推測し、この行政指導は「学生の弾圧を狙ったのではないか」との見方を示した。

行政指導を受け、京大は17年に立看板規定を制定すると、組合の看板を18年と20年に撤去した。これが表現の自由や労働組合の権利の侵害にあたるとして、21年4月、組合は市と京大を提訴し、550万円の損害賠償を求めた。同年8月から23年にかけて、計13回の口頭弁論が実施され、昨年10月には証人尋問が行われていた。

関連記事